『太陽神の司祭 上 ヴァルデマールの嵐第一部』

太陽神の司祭 上 (ヴァルデマールの嵐1) (創元推理文庫)
マーセデス・ラッキー 山口 緑
4488577180


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読了。

豊饒な物語世界の丁寧な描写が印象深い、異世界ファンタジーシリーズ・ヴァルデマール年代記の「ヴァルデマールの風」三部作に続く「ヴァルデマールの嵐」三部作の第一部の上巻。


長年敵対してきたヴァルデマールと同盟を結ぶことになった太陽神を仰ぐカース国。国を統べる〈太陽神の息子〉ソラリスが特使として送り出したのは腹心であり、かつての〈黒の司祭〉ウルリッヒだった。師ウルリッヒの書記としてヴァルデマールに足を踏み入れた若者カラルは、おぞましい噂と伝説に彩られていた敵国のほんとうのすがたを知って愕然とする。いっぽう、〈隼殺し〉のモーンライズから解放されたシン=エイ=インの若者アン=デシャは、恋人〈炎の歌〉とともにやってきたヴァルデマールになじめず、モーンライズの悪夢に未ださいなまれて孤独な日々を送っていた。



えーと、アン=デシャってだれだっけ……?

わたしの記憶はとても頼りなかったですが、読んでいるうちにだんだんと理解できました。
これまでの経緯の輪郭がわかるようにあちこちで情報が挟まれるからです。
あいかわらずですがとても親切な語り口ですね。

というわけで、本書は「ヴァルデマールの風」の直接の続きのようです。ちと自信ないけど巻末の年表を見るとそのはずです。

ということは、アン=デシャは「ヴァルデマールの風」からの登場人物になるわけですが、なぜそんな人物を忘れているのか自分;

「風」では、王女エルスペスがテイレドゥラスに入門して魔法を習い、〈隼殺し〉のモーンライズという邪悪な魔法使いと対決し、ついでにヴァルデマールにあった魔法が使えない障壁がなくなるような事件があったような気がします。なぜそうなったかは思い出せないのですけど、それでいちおうアン=デシャについては理解できました←おい;

もうひとりの視点人物であるカース国の若き書記カラルについていえば、完全に初登場なのでこちらは無問題。

むしろカラルの新鮮な視点でのパートの方が読みやすかったわたしです。

ヴァルデマールとカース国とには過去にも因縁がありまして、それはケロウィンが主役の『運命の剣』にある模様です。あの話はラストにびっくり仰天したことだけはっきり覚えておりますが、そこにいたるまではすっぽりと霧の中です。

なので、ケロウィンが何者か知らないカラルくんのおかげでとても助けられました。
シリーズ読者としては失格なのですが、まあ、いいや。

そんな感じで、なんとなく覚えはあるけれどもはっきりとは思い出せない世界を、視点人物よりちっとは情報持ってるぞな気持ちで読むのはけっこう楽しかったです。

そうそう、先日読んだスキッフの話でアルベリッヒの過去を仕入れていたのは役に立ちました。本当はアルベリッヒ主人公の話も読んでおきたかったかなと思いましたが、この本が出たときにはまだ翻訳が出てなかったわけですし、支障はありませんでした。

えーと、ここまでなにも感想を書いてないことに気がつきましたが、話自体もまだあまり動いていません。
旅をしながら、風呂に入りながら、過去のあれこれを回想しつつ説明するシーンが多かったのです。

あ、カラルたちの旅での食事がいちいち美味しそうでしたね。
〈使者〉はグルメなのに違いないw

後半、ヴァルデマールの宮廷にさまざまな立場を代表するものたちが一堂に会し、そこに鷲獅子のトレイヴァンの姿があるのに満足いたしました。

あと、さりげなく明かされた〈共に歩むもの〉の情報に口があんぐりでした。
そんなん、あり?w

下巻はこちら。
太陽神の司祭 下 (ヴァルデマールの嵐1) (創元推理文庫)
マーセデス・ラッキー 山口 緑
4488577199

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