『紅に輝く河』

紅に輝く河 (カドカワ銀のさじシリーズ)
濱野 京子 丹地 陽子
4041101018


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読了。

ひとつの国の変革期を背景に若者たちの葛藤を落ち着いた文章で繊細かつドラマティックに描く、異世界歴史ファンタジー。


国母をいただき神官の託宣により国事が決定されるファスール国で、待望された王女の誕生にあたり、相反する託宣ふたつが下った。ひとつは「この国に仇なす」もうひとつは「この国を救う」。結果、第一王女は同時期に生まれた異母妹と極秘裏に入れ替えられ、第二王女として育てられることになった。第二王女アスタナはふしぎな少女だった。ひとり森を歩くことの多く、知識欲旺盛で行動的でもある彼女は、第二夫人である母カミーナの嘆く変わり者の王女として成長した。ファスールでは南北により貧富の差が激しく、南部はここ数年の干ばつや洪水によって荒廃がひどくなっていたが、上層部は差別意識から対策をしようともしない。そんなおり、十七歳になったアスタナは、交易の盛んなシーハンから留学してきた少年サルーと出会う。



アスタナ姫かっこいい!

と手を叩きたくなるお話でした。

これまでの作者さんの異世界ものと同じ世界を舞台にしています。
同じ世界の別の国の王族がメイン、というのもシリーズ通しての共通点。

相反する託宣つまり予言を受けてうまれた第一王女アスタナが、母親に阻害されて育ったにもかかわらず国の民を思い、危機に瀕する母国を救おうとする、強い意志と行動力を描くおはなしです。

ヒーローはアスタナ姫でしょう、どう見ても。
ヒーローを案じるヒロインがサルーですね、どう見ても。

そもそも、出会いの時からしてあれですしw
その出会いが運命だったとこだわるのもサルーだしw

アスタナの視点よりもサルー視点のほうがドキドキきゅんきゅんしてて、ふわあとした気分になりました。

元々、シリーズの一冊目もつよい女の子が主役でしたが、アスタナはさらに上を行きます。ほんとにカッコいい。
読みながらサルーと一緒にどきどきするのがよいと思います

と、すっかりアスタナ姫に入れあげてしまいましたが、ファスールという国の体制から地勢気候風俗ときちんと設定された物語世界で、ひとつの国の変革期といろんな立場の登場人物たちそれぞれの人生とがわかちがたく歴史を築いていく様が一冊の中に描かれていて、その密度には今回も感銘を受けました。

落ち着いた文章であからさまな派手さを遠ざけるような描き方なのに、熱く迫ってくるものがあります。

結果的にとてもドラマティック。

このシリーズ、ほんとわたしは好きだなあ。
異能に関することがほとんど書かれないのでファンタジー色は薄いけれど、地に足のついた異世界歴史少女小説だと思います。

今回の舞台となったファスールは、なんとなくインドのイメージでした。
ただし、被支配者である南部民のほうが身体の色素が薄いのですね。

さらに、これまでのシリーズを読んでいるとニヤリとできるところがいくつかありました。嬉しいのですよね、こういうのってw

もっとシリーズを読みたいなと調べてみましたが、どうやらいまのところこれで終わりの模様。

毎年一月ごろに新刊が出ていたようなのですが、来年の一月にはそれらしき予定もないみたいです。残念。

つづきが、とても読みたいです。

シリーズ既刊はこちら。
碧空の果てに (カドカワ銀のさじシリーズ)
濱野 京子 丹地 陽子
404873945X

白い月の丘で (カドカワ銀のさじシリーズ)
濱野 京子 丹地 陽子
4048741640

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