『永遠の曠野 芙蓉千里3』

永遠の曠野 芙蓉千里III
須賀 しのぶ
4041102278


[Amazon]

読了。

各国の争いが激化する激動の近代北アジアを舞台に、ひとりの娘の半生を描く、大河歴史ロマン。完結編。


芸妓として伝説の舞いを披露した末、浦塩から姿をくらましたフミは、愛する山村健一郎=健明の行方を追い、極寒のシベリアでとうとう巡り合った。健明が当家として率いる馬賊の一団に苦労して受け入れられたフミは、かれらの目的をおのれのものとし、ともに生き、ともに死ぬことを誓う。健明たちの目的はかれらを裏切って大勢の仲間を死に至らしめた、ロシア白軍の司令官ウンゲルンへの復讐。そしてモンゴルのハーンに託された望みを果たすことだった。




怒濤の歴史小説でした。
殺伐として血みどろで痛くて凍えそうで、なのにひとびとの心はとてつもなく熱い。

極限のなかで結びあった絆の、どくどくと脈打つような勁さに、どきどきしながら読みました。

波乱万丈なんて言葉では生ぬるい、何度も死の直前まで行っては最後の一歩ですりぬけるぎりぎりの人生。

心も身体もつよくなければとうてい生き残れないような環境で、めまぐるしく変化する登場人物たちの境遇に、はらはらしながら読みました。

出てくる人、ひとりひとりに体温があって、肌触りがある。
斬れば血が流れ、痛みがさす。
怒り、泣き、笑い、愛し合う。

そんなひとたちのつくった歴史のきっかけがうねりとなって、しだいに手の届かないものになっていく、圧倒的なエネルギーを感じながら読みました。

ものすごく面白かった。

読み終えて、すべての登場人物にお疲れさまといいたくなりました。

でも、みんなとうに歩き出してますね。タフだ。タフすぎる。
作者さんの書くお話は登場人物がみんなタフで、読んでるわたしは圧倒されっぱなしです。

ところで。
じつは、電子書籍の雑誌に連載されていたものを読んでいたのですが、まったく既視感の訪れない話にひたすら驚きました。
おおまかなあらすじは変わってないんですが、エピソードの書き足しやこまかな設定の変更がとても多くて、ほとんどべつの話を読んでいる気分でした。

舞姫としてのフミが芯の部分に残っていることがつよく意識されるようになってるし、健明と炎林の関係も深くなった気がします。

フミとショールガとのエピソードは、ほとんど新作(?)。これ、すごく重要w
サラントヤとその兄さんの関係も。
後半のモンゴル関係の話は、とくにそうだったような気がします。

それにモンゴル独立の話ってこれまで知らなかったので、とても興味深かったです。
もちろん、創作もかなり入ってるんでしょうけど、これがいまのモンゴル共和国の基礎なんだなーと思って、うん。

で、赤軍の力を借りたから、あとになって日本人捕虜がウランバートルで労働させられたんだなーと思い至ったり。

歴史って世界って、あたりまえなんだけど、全部つながってるんですよねえ。
しみじみしました。

しかも、この話の時点ではまだ太平洋戦争が始まってないという。
もしかして、つづきがあるんじゃないかしらん。
そしたらヒロインはあの子? などと勝手に妄想したりしていますw

シリーズ開幕編は文庫になっております。
興味を持たれた方はぜひぜひ。
芙蓉千里 (角川文庫)
須賀 しのぶ
4041005329


余談。

フミと炎林て、カリエとエドに似てません?

Comment

Comment Form

管理者にだけ表示を許可する