『ハリー・クラーク絵 アンデルセン童話集 下』

ハリー・クラーク絵 アンデルセン童話集 下 (文春文庫)
アンデルセン ハリー クラーク
4167812053


読了。

デンマークの「童話王」アンデルセンの著作をアイルランドのステンドグラス職人ハリー・クラークの挿画で飾った英訳本の日本語訳。文庫版。

面白かったです。
読み終えるのに時間がかかってしまいましたが、理由は短編集だからにつきます。
ひとつひとつ完結すると息を入れてしまうので、そのあいだに別の本を読みはじめたりするとなかなか元に戻ってこられないのですよね。

収録作は以下の通りです。


夜なきウグイス(ナイチンゲール)
マッチ売りの少女
妖精の丘
古い家

人魚姫
ワイルド・スワン
沼の王の娘
パラダイスの園
絵のない絵本

解説 アンデルセン生誕二百年の、ささやかな贈りもの 荒俣宏



わりと有名どころのラインナップです、よね?
「人魚姫」「マッチ売りの少女」はいわずもがなだし、「沼の王の娘」はアニメでやってたときのわたしの大のお気に入りでした。
「ワイルド・スワン」はタイトルではピンと来なかったけど、継母の王妃に十二羽の白鳥に変えられた兄王子たちを妹姫が茨でかたびらを編んで救うお話です。←『天山の巫女ソニン』に似てますねww

どれもふってわいたようなハッピーエンドではなく、濃淡の差こそあれ死の影がつきまとうおはなしばかりで、こんな暗い雰囲気だったっけ、と驚きましたが、わたしはこういう薄暗い感じの哀しいお話が子供のころからけっこう好きで、いまもその傾向は続いている模様です。

それもただ哀しいのではなく、つらく苦しい結末でありながら、魂の救いがあるようなお話がいいのですよね。

それこそ、まさしくファンタジーの存在する意味ではないかと、いま、はたと思い当たりました。

アンデルセンの場合、以前はその救いがだいたいキリスト教徒になることなのに興ざめしてしていたのですが、歳をとってから読み返してみると、自分がキリスト教も信仰のひとつとして扱えるようになっていることに気がつきました。距離が置けるようになったのですね。

「パラダイスの園」を読んでいてとくにそのことを思いました。
この話、アダムとイブの楽園追放がモチーフなのだけど、書いてあることは普遍的なことだなとか。

ところで、ハリー・クラークの挿画はやっぱり素敵です。
下巻は上巻より数が少なめですが、それでも一枚一枚、魔術的な色気のある絵を堪能しました。

文庫ではカラーが削られているらしいので、今度図書館でハードカバーを借りてみようと思います。

ハリー・クラーク絵 アンデルセン童話集 上 (文春文庫)
アンデルセン ハリー クラーク
4167812045


アンデルセン童話集
ハンス・アンデルセン 荒俣 宏 ハリー・クラーク
4403270034

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