『炎路を行く者 守り人作品集』

炎路を行く者 —守り人作品集— (偕成社ワンダーランド)
上橋 菜穂子 二木 真希子 佐竹 美保
4035403806


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読了。

『精霊の守り人』に始まる、土の香りただよう異世界ファンタジーシリーズの、番外作品集。


炎路の旅人
十五の我には

あとがき



中編と短編を収録した作品集です。

「炎路の旅人」は、『蒼路の旅人』で新ヨゴ皇国の皇太子チャグムをさらったタルシュのヒュウゴの生い立ちを描いた中編。

ヨゴ皇国のエリート武人〈帝の盾〉の父を持つヒュウゴが、タルシュによる征服で家族を失い、最下層のひとびとのなかで育っていくさまが、じつに臨場感たっぷりに描かれていました。

本編ではあまり語られなかったタルシュによる支配の実態や、被支配者になった枝国のひとびとの状況が、興味深かったです。

そして、最下層のひとびとにとっては、最高権力者がだれになろうと境遇にはあまり変わりがないのが、悲しかったです。

最下層のひとびとの暮らしは、とてもていねいに描かれていて、いきいきと目に浮かびました。
魚取りの親子や底辺の飯屋もそうですが、暴力団まがいの若者たちの勢力争いとかやけにリアルです。(セリフが昔のヤクザ映画ぽいような古めかしさですがw)
もしかして、作者さんのフィールドワークがあれこれ活かされているのかなあと思ったりしました。

しかし、タルシュのヒュウゴくん。
冒頭でてきたときに誰だかわからなかった;
本編との関係は作中でも説明されてるんですけど、私自身の記憶がまったく結びついてくれなかったのが困りものでした。ええ、最後まで;

「十五の我には」は、十五歳のバルサが意気がっているときのお話。

バルサにもこんなに青い時があったのですねえ。

それにつけても、バルサの養父ジグロはつくづく懐の大きな人だったんだなとしみじみします。

理不尽すぎる運命を自ら受け入れて、けして腐ることなく、つねに穏やかに、バルサをきちんと護り育てつづけたんだものねえ。

こういう男性はどうやったら育つのでしょうか。
方法があるならぜひ教えて欲しいものです。
甥っ子に適用したいwww

というわけで安定した面白さでした。
「炎路の旅人」がネタバレになってるので本編読了後に読むことをお勧めします。

シリーズ開幕編はこちらです。

精霊の守り人 (新潮文庫)
上橋 菜穂子
4101302723

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