『天使のゲーム 上』

天使のゲーム (上) (集英社文庫)
カルロス・ルイス・サフォン 木村 裕美
4087606465


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読了。

二十世紀初頭のバルセロナを舞台に、若くして作家となった男の波乱の人生と謎の館と編集者にまつわる物語。“忘れられた本の墓場”の登場する時代めいたミステリロマン第二弾。


1917年、バルセロナ。新聞社の雑用係だった十七歳のダビッドは、突然副編集長に呼び出され、穴埋めの短編を書くように命じられる。ダビッドの短編は採用され、その後は連載を持つようになるが、その人気が編集部員の嫉みを買って解雇された。独立したダビッドはかねてより憧れの旧市街にある“塔の館”に“目をつけた。いわく付きの物件だった“塔の館”を不動産屋の忠告にも関わらず借りることにしたダビッドは、別人名義の執筆を申し出る出版社と契約を結び、本格的に作家活動を開始したが——。



面白かったです。

じつのところ、読み始めはちょっとひいてたのです。
主人公ダビッドの境遇があまりにも悲惨なので。
貧乏であることはもとより、清潔になることすらできない。
周囲の感情むき出しの下品なやりとりにも辟易しました。むかしはこういうのはお勉強するつもりで読んでたんですが、年を食うと許容範囲が狭くなるのでしょうか。

しかし、名家の息子でなにかとダビッドを応援してくれるビダルとの複雑な関係や、ビダルの運転手の娘クリスティーナへの思いや、別名での執筆を強要したあこぎな出版社との関係など、ダイナミックなドラマ展開にいつのまにかひきこまれていきました。

とくに、ビダルをはさんでのクリスティーナとの関係にハラハラドキドキ。

それと、作家であるダビッドの物語であるということは、必然的にダビッドはどのようにして小説を書いているか、という話にもなるわけで、そのあたりのいろいろなものの考え方、技術、などはわたしには大変に興味深かったです。

それから、話のメインになる謎の編集者とのやりとりも。

宗教についてのさまざまな考え方も、なるほどー確かにそうだよなーと思いながら読みました。

バルセロナ旧市街の人々の暮らしの描写も楽しかったです。
記憶力がないので悲しいのですが、センペーレ書店て『風の影』に出てきましたっけ?

そして登場する“忘れられた本の墓場”!
個人的には、こんな湿気ぽいところに本を保管してて大丈夫なのかーと思うのですが。
謎めいてて神秘的で穴蔵っぽくて、あいかわらず本好きの興をそそるところです。

波乱万丈の第一部のあとにひたひたと襲いかかる第二部、という展開で、これから謎を探りはじめるぞ〜、というところで上巻が終わったときには「うわあん!」と叫びました。


「この話を、ほんとうに、おききになりたい?」
「どうか、お願いします」



お願いします、わたしにはやく続きを読ませてー! ←図書館で借りて読んでます。

個人的に、押しかけ助手のイサベッラちゃんの鼻持ちならなさがたまらなくて、愛おしくてなりません。
昔なら、何この女! って払いのけてただろうに、こんなところでも歳食ったなあと思いますw

天使のゲーム (下) (集英社文庫)
カルロス・ルイス・サフォン 木村 裕美
4087606473

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