『世界樹の影の都』

世界樹の影の都 (ハヤカワ文庫FT)
N.K. ジェミシン N.K. Jemisin
4150205507


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読了。

神々と人間が共存する世界を舞台に、ひとりの娘の半生を自伝風の語りで描く、異世界ファンタジー。

三神の一柱〈輝けるイテンパス〉が唯一神の地位から転落して十年後。
天を衝く〈世界樹〉をいただく都シャドーのウェシャでアクセサリーを売り、かつかつの暮らしを営む、芸術家の娘オリー・ショース。
〈夜の君〉が解き放たれた十年前に父親が死に、故郷ニマロから出てきたオリーは、盲目だが魔法の存在が見える。
堆肥の中で倒れているのをオリーが拾った男は、無愛想で口をきかず、何度も死に、何度も生き返った。明け方のほんの一時だけ輝きを放つ男にオリーはシャイニーと名づけた。

ある日、彼女は路上で子神ローラの殺死体を発見する。
不死の子神をだれが、どのようにして殺したのか。
イテンパス教団は、元恋人である子神マディングとともにオリーに疑いを持つ。教団守に乱暴に捉えられそうになったオリーを救ったシャイニーは魔法の輝きを放っていた。



面白かったです!!

紹介文がやたらと長くなってしまいましたが、本文はこんなに七面倒くさくはありません。一人称で語られるお話って、時系列が融通無碍なので、それを三人称で簡素にあらわす技術がなくて苦労したというだけです;

『空の都の神々は』の続編です。
単独で読めますが、続けて読めば分かりやすいと思います。
前作では捕らわれの身だった夜の君と専制君主だった輝ける君の関係が反対になって、今回は輝ける神が人間としてうける苦難とそこからの解放がえがかれてます。

しかし、この話の魅力はヒロインのオリーです。
盲目でありながら自立していて、束縛されることを嫌い、そのために子神の恋人と別れることすら納得してしまう、つよい女性です。

状況の変化に対しては受け身でしか動けないようなのに、いざその場に置かれるとおどろくほどに強い意志で粘りあらがいつづける、まるで根性のカタマリです。

いったい、なにがそんなに彼女を強くしているのか。
やはり、父親の存在かなー?
父親ははじめ、死んだとだけ書かれているのですが、その死はオリーに大きな影響を与えていて、話そのものにも深く関わっています。

しかも、殺人事件ですよね、これw

オリーと関わるうちに、不変であることが身上の神が変化を余儀なくされていく過程が萌えでした。輝ける君ってツンデレだったのねw

そうして、オリーとシャイニーの話でありながら、神々の歴史の話でもあることがわかってくるあたり、とても興味深く、面白かったです。

枠だけみれば神話のように壮大な話を、あくまでひとりの女性視点で、地に足のついたお話に仕立てた手際が見事でした。

ラストの急展開と、語りの仕掛けにも舌を巻きました。

訳者あとがきによれば、このシリーズは三部作だそうで、最後の一作はまだ未訳ですが、きっと出してくれると期待しています。待ってます。

それと、同じ作者さんのアフリカや中東に似た異世界のシリーズというのがあるらしいのですよ。それ、ものすごく読んでみたいです!

シリーズ第一作はこちら。
空の都の神々は (ハヤカワ文庫FT)
N・K・ジェミシン 佐田 千織
415020537X

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