『ミレニアムの翼 1 〜320階の守護者と三人の家出人〜』

ミレニアムの翼 (1) ~320階の守護者と三人の家出人~ (ウィングス文庫)
縞田 理理 THORES 柴本
4403541887


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読了。

やもめの兄貴分と訳ありの若者たちの、ヴィクトリア朝風異世界スチームファンタジー、シリーズ開幕編。

環境汚染が進んだためにほとんどの人類が塔に囲い込まれて生活している世界。
女王を文字通り頂点に頂くアングリア王国のタワー・オブ・リンデン。
その320階に住むよろず屋サイラスが、酔っ払いの家出少年ジョニーをいきつけのパブ(?とは書いてなかったような)で拾ったのが始まり。

機械の扱いが天才的に上手いジョニーはなしくずしに同居人となり、いろんな仕事をこなすうちに事件に巻き込まれたりして、本の最後には居候が三人になっていました。

というお話。

外見も振る舞いも上流階級の出身とまるわかり、機械に明るく、美貌に恥じないしゃれ者の少年ジョニー。
荘園主のもちもの田園の出身でどうみても田舎者で、純朴な冒険者ナッシュ。
さらに、もっととんでもない背景を持つ、無表情な女の子、ラモーナ。

三人三様の少年少女たちと、大きなガタイとひとのよさと懐の広さをあわせもつサイラスのやりとりで進んでいく日常に、塔を象徴とする中央権力とそれにまつわる歴史や抵抗勢力がからんでくる、のちの波乱の展開を予想させつつも、今回は顔見せとストーリーの種まきという雰囲気の一冊でした。

個性的なキャラクターたちがあつまって、疑似家族ができ上がるまで、というのは、なんとなくほのぼのしますね。

父親役をさせられてしまうサイラスも、なんだかんだいいつつそれほど負担には思っていないのは、たぶんかれも人恋しい気持ちをもっていたからだと推測します。

若者の訳ありな背景はふんだんに明示されてますが、じつはサイラスの過去こそ、物語の核心に関係あるんじゃないかと勝手に推測中。

それから、この物語世界ですが、少女むけにはめずらしいスチームパンク風です。
ジョニーの機械いじりとあわせて描かれる、機械仕掛けというのがぴったりな塔の生活風景が楽しい。
少女むけのせいか描写はちょっとうすめですが、らしさはだいたい伝わってきました。
(個人的に飛行艇のくだりはもうすこしくわしく書いて欲しかったですが。)

ジョニーの家族問題の行方は、ラモーナの身分詐称はどこまでつづけられるのか、ナッシュの夢はいったいなんなのか。個人的にはナッシュの謎が一番知りたい!

これからの展開に期待しています。

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