『天使のゲーム 下』
天使のゲーム (下) (集英社文庫)
カルロス・ルイス・サフォン 木村 裕美

[Amazon]
読了。
二十世紀初頭のバルセロナを舞台に、謎めいた編集者と契約をした作家が出会う、死と愛と裏切りに彩られた運命を描く、本とそれを書き記す作家の関係が興味深い時代ミステリー。「忘れられた本の墓場」シリーズの第二部下巻。
先が知りたくて飛ばし気味に読んでしまいました;
おかげですこし消化不良気味で読み終えたのですが、再読してみてもやはり、とても幻想的で悲劇的でなおかつ形而上的なおはなしでありました。
作家である主人公ダビッドはとても不公平な契約のもとに娯楽小説を書いていたのですが、体を壊して死を目前にするところまできてしまいます。
そこにあらわれた謎の編集者アンドレアス・コレッリ。
コレッリはダビッドが拘束されている出版社との契約を恐ろしいやりかたで無効にしてみせると、ダビッドの病を消去し、ひきかえに一冊の本の執筆を迫ります。
これまでに書かれたことのない本を、と迫るコレッリの存在に常ならぬものを嗅ぎ取ったダビッドは、依頼をうけたものの、コレッリの正体と意図を探りはじめます。
というのが上巻までのお話。
下巻は、ダビッドが暮らす塔の館のかつての住人ディエゴ・マルラスカが、どうやらコレッリに同じ依頼を受けていたことがわかり、それから闇に葬られていた過去と現在の類似性がこれでもかと浮かび上がってきます。
さらに、ダビッドが契約していた出版社の事件で警察がかれの周辺をうろつくようになり、いっきにきな臭いことに。
はたして、マルラスカはなぜどのようにして死んだのか、警察はなぜ捜査をやめたのか。
ダビッドが過去を調べていることを知ったコレッリは幾度も警告を発し、その存在はまさに変幻自在。
ますます警戒をつのらせていくダビッドの周囲で、かれの大切な人々が危険に晒されるようになり、そして……。
恐怖とサスペンスとにいろどられつつ、たたみかけるように進むドラマは、終いにはアクションもの顔負けの展開になって、読んでるわたしがびっくり。
コレッリ関係の暗くあいまいで謎めいた脅威と、警察という現実的物理的な脅威とがかりたてる緊張状態に、ひいひいいいながら読みました。
たどりついた終着点では、うわーーーーーーー。
言葉がありませんでした。
疑問は山ほど残りましたが、そうだったんだーと腑に落ちたところもたくさんありまして、プラスマイナス……ぜろにはなってないような気もしますが、その部分は多分第三部、第四部で明かされるのでしょう、きっと!
「センペーレと息子書店」は、やはり『風の影』のものと同一でした。下町にある人情味あふれる古本屋さんです。ここで『風の影』につながっていくラストに、涙がにじみました。
とっても生意気で、自分勝手で、でもかわいかったダビッドの押し掛け助手イサベッラちゃん。
彼女はこの話のオアシスでした。
個人的にはコレッリとダビッドがかわす、宗教や信仰についての会話が興味深かったです。
たしかに、教理問答などより宗教物語の方が、わかりやすいし、浸透しやすいよなあ。
「忘れられた本の墓場」第一部はこちらです。
風の影 (上) (集英社文庫)
カルロス・ルイス・サフォン 木村 裕美

風の影 (下) (集英社文庫)
カルロス・ルイス・サフォン 木村 裕美

時代的には『天使のゲーム』のほうが先なので、どちらから読んでも大丈夫と思います。
カルロス・ルイス・サフォン 木村 裕美

[Amazon]
読了。
二十世紀初頭のバルセロナを舞台に、謎めいた編集者と契約をした作家が出会う、死と愛と裏切りに彩られた運命を描く、本とそれを書き記す作家の関係が興味深い時代ミステリー。「忘れられた本の墓場」シリーズの第二部下巻。
先が知りたくて飛ばし気味に読んでしまいました;
おかげですこし消化不良気味で読み終えたのですが、再読してみてもやはり、とても幻想的で悲劇的でなおかつ形而上的なおはなしでありました。
作家である主人公ダビッドはとても不公平な契約のもとに娯楽小説を書いていたのですが、体を壊して死を目前にするところまできてしまいます。
そこにあらわれた謎の編集者アンドレアス・コレッリ。
コレッリはダビッドが拘束されている出版社との契約を恐ろしいやりかたで無効にしてみせると、ダビッドの病を消去し、ひきかえに一冊の本の執筆を迫ります。
これまでに書かれたことのない本を、と迫るコレッリの存在に常ならぬものを嗅ぎ取ったダビッドは、依頼をうけたものの、コレッリの正体と意図を探りはじめます。
というのが上巻までのお話。
下巻は、ダビッドが暮らす塔の館のかつての住人ディエゴ・マルラスカが、どうやらコレッリに同じ依頼を受けていたことがわかり、それから闇に葬られていた過去と現在の類似性がこれでもかと浮かび上がってきます。
さらに、ダビッドが契約していた出版社の事件で警察がかれの周辺をうろつくようになり、いっきにきな臭いことに。
はたして、マルラスカはなぜどのようにして死んだのか、警察はなぜ捜査をやめたのか。
ダビッドが過去を調べていることを知ったコレッリは幾度も警告を発し、その存在はまさに変幻自在。
ますます警戒をつのらせていくダビッドの周囲で、かれの大切な人々が危険に晒されるようになり、そして……。
恐怖とサスペンスとにいろどられつつ、たたみかけるように進むドラマは、終いにはアクションもの顔負けの展開になって、読んでるわたしがびっくり。
コレッリ関係の暗くあいまいで謎めいた脅威と、警察という現実的物理的な脅威とがかりたてる緊張状態に、ひいひいいいながら読みました。
たどりついた終着点では、うわーーーーーーー。
言葉がありませんでした。
疑問は山ほど残りましたが、そうだったんだーと腑に落ちたところもたくさんありまして、プラスマイナス……ぜろにはなってないような気もしますが、その部分は多分第三部、第四部で明かされるのでしょう、きっと!
「センペーレと息子書店」は、やはり『風の影』のものと同一でした。下町にある人情味あふれる古本屋さんです。ここで『風の影』につながっていくラストに、涙がにじみました。
とっても生意気で、自分勝手で、でもかわいかったダビッドの押し掛け助手イサベッラちゃん。
彼女はこの話のオアシスでした。
個人的にはコレッリとダビッドがかわす、宗教や信仰についての会話が興味深かったです。
たしかに、教理問答などより宗教物語の方が、わかりやすいし、浸透しやすいよなあ。
「忘れられた本の墓場」第一部はこちらです。
風の影 (上) (集英社文庫)
カルロス・ルイス・サフォン 木村 裕美

風の影 (下) (集英社文庫)
カルロス・ルイス・サフォン 木村 裕美

時代的には『天使のゲーム』のほうが先なので、どちらから読んでも大丈夫と思います。
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