『ソフロニア嬢、空賊の秘宝を探る 英国空中学園譚』

ソフロニア嬢、空賊の秘宝を探る (英国空中学園譚)
ゲイル キャリガー sime
4150205515


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読了。

人狼や吸血鬼が共存するヴィクトリア朝を舞台に、おてんばな女の子のスパイと暗殺を教える花嫁学校での騒動を描く、スチームパンクファンタジーシリーズ開幕編。


中流階級のテミニック家の末娘ソフロニアは、あまりのおてんばぶりに手を焼いた母親によって花嫁学校(フィニシングスクール)に送り込まれることになった。ところが、知り合いから推薦されたという〈良家の子女のためのマドモアゼル・ジェラルディン・フィニシング・アカデミー〉に向かう途中、ソフロニアの乗った馬車は空賊の攻撃を受ける。同乗した少女ディミティとその弟の助けを借りてなんとかその場を逃げきったソフロニアの前に現れたのは案内係で教官の人狼で、学校はなんと空に浮いた大きな飛行船の中にあった。しかも、そこで教えているのは行儀作法という名を借りた、情報収集や毒薬などの知識。じつは女スパイ養成所に秘密候補生として迎えられたソフロニアの、波乱の日々が始まった。



アレクシア女史の「英国パラソル奇譚」と同一世界を舞台にした、パラノーマルスチームパンクファンタジーです。

型破りな淑女アレクシアと比べると、いくらおてんばでもまだ十四歳の女の子ソフロニアでは、インパクトの点で少々劣ります。

そのかわり、彼女の行く花嫁学校の奇想天外さが秀逸でした。
巨大な芋虫みたいな外観の飛行船の中に開設された寄宿学校は、なんと、スパイと暗殺者の養成学校。
教師陣はいずれもくせ者ぞろいで、吸血鬼や人狼といった異界人もまじっています。

さらに、落第して同級生になったいじわるな上級生モニクに、縁故で入学した新入生たち。

ソフロニアは唯一の縁故なしの秘密候補生として、なにもかもが目新しい環境にほうりこまれます。

ちょっと、ハリー・ポッターを彷彿とさせるようなシチュエーション?

しかし、ソフロニアはもちまえの並外れた好奇心と無鉄砲さで、あらゆる出来事に首を突っ込んていきます。

おかげで、お話はつねにドタバタです。

この出たとこ任せのようなつねに話があらぬ方向に転がっていくかんじ、ちょっとダイアナ・ウィン・ジョーンズに似ているような。

ありとあらゆる場所に施された機械仕掛けのちょっとまぬけな感じも、スチームパンクぽさですね。
ひろった子犬のメカアニマルがあんなふうに活用されるとは!w

学園で出会ういろんな人々の中には前シリーズのおなじみさんが含まれていて、ちゃんと活躍してくれますのでその点も楽しかったです。

付属の男子校の生徒たちがにぎやかしに出てきますが、かれらはこれからも出番があるのでしょうかw

ロマンスもののパロディーで始まったアレクシアとはまた違う、元気いっぱいの少女小説として、なかなか楽しめそうなシリーズと期待させられる一冊でした。

二十五年後のあのひとたちが出てくる前シリーズの開幕編はこちら。
アレクシア女史、倫敦で吸血鬼と戦う (英国パラソル奇譚)
ゲイル・キャリガー sime
4150205329

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