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『魔道師の月』

魔道師の月
乾石 智子
4488024890


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読了。

原初の闇〈暗樹〉とたたかう魔道師たちの業を多彩な言葉で織りあげる、幻想的な異世界ファンタジー。


栄華を誇るコンスル帝国。皇帝の甥ガウザス付きのレイサンダーは黒髪と緑の目を持つ大地の魔法を操る魔道師だ。ある日、皇帝への献上物として持ち込まれた幸運をもたらす円筒を見たレイサンダーは、その禍々しさに言いようのない畏れを抱いて遁走した。その一年後、文字の魔法を生み出した魔道師キアルスは、コンスル帝国の兵士に捕らえられていた。キアルスは深い喪失感から自棄になって大切な詩集を燃やしているところを見られて、黒髪と緑の目を持つ魔道師を捜索しているかれらの網にかかったのだ。



この話、とっても好きです。
面白い本はたくさんあるけど、好きだーと声を大にして言える本との出会いは、じつはそれほどないような気がします。

この話は、つかわれる言葉や文章からお話しの語りかた、テーマや題材や、登場人物の性格もふくめて、わたしのど真ん中を射ぬきました。

正直、万人向けではない本と思いますが、わたしと趣味が似ているかたにはぜひとも読んでいただきたいと思います。

物語というのがふさわしいお話です。
はっきり説明や解説とわかる文章はほとんどありません。
物事が起きている、その事態を視点人物が感じているそのままの言葉であらわしつつ、それが次第に状況をあきらかにしていくという、つづれ織りのような語りかた。

使われる言葉は平易なのにとても彩り豊かで、とくに自然についてついやされるたくさんの言葉が、世界の豊かさそのものをあらわしているようです。

そのこともまた、世界の理に干渉するちからをもった魔道師の物語にふさわしいと思えます。

ちからをふるうたびにその身に闇をかかえていくという魔道師の存在そのものが、この話の大きなテーマなのですね。

敵である邪悪な〈暗樹〉は闇そのもの。
光と相反し、しかし闇なければ光もまた存在せず、ひとの血の中にも流れているもの。

ひとが生まれた時にかぎりなく無垢であるのなら、闇はもしかしたら、世界を理解するためには必要不可欠なものなのかも、ひととして生きていくうちに得ていく知識そのものなのかもしれないなー、などと思ってみたり。

魔道師が闇を得ていくのは、もともとの知識の上に他人の分も人生の経験を積み重ねていくからなのかしらん……。
とは、わたしの妄想ですが。

ただ、その闇が完全に人類の人生を超えたスケールを持っていたら、それはもう制御不能だよなあ……それはもうファンタジーの領域の話ではないのかも。

閑話休題。

大地の魔法をつかう一族に生まれたレイサンダー。
文字を使うギディスディン魔法をつくりだしたキアルス。

ふたりの魔道師はそれぞれに〈暗樹〉の危機と出会い、それぞれに苦難を越えて巡り合い、協力して恐ろしい敵を葬り去ろうとします。

能力も性格も違うふたりのやりとりは軽妙で、深刻な話の中では特別に暖かく、コンスル帝国の兵士ムラカンや、ふたりを結びつける星読みテイバドールの人生とあわせて、これは若者たちの友情の物語でもあることが感じられます。

物語の舞台となるコンスル帝国のひとびとの暮らしや、テイバドールの部族の暮らしなど、日々の営みの豊かなことも、楽しかったです。

(印刷技術のない時代に、一般公開される開架式図書館があるというところだけ、ちょっと疑問でしたが……)

ものすごく面白くて好みだったのに、感想がうまく書けそうになくて、何度も読み直していたのですが、このままだといつまでたっても書けそうにないので、見切り発車しました。

いつもにも増して支離滅裂になってますが、とにかくこの本大好きだー! という叫びだけは届けられたでしょうか。

……届いたと思いたい。

ところで、妹尾ゆふ子さんによる解説で、この話が前作『夜の写本師』と舞台が同じで話も関連しているらしいと気づきました。

しまった。鳥あたまなわたしは読んだ本を全然覚えていない!

たしかにギディスディン魔法ってみたことあるなあと思ったけど……!

これは買って読み直さねば、と思ったのですが、すでに次作は手元にあるのでこっちもはやく読みたいので、どうしようどうしようと懊悩しているところです。
夜の写本師
乾石 智子
4488024726

太陽の石
乾石 智子
448802498X

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