『風の王国 王杖の守者』

風の王国 王杖の守者 (風の王国シリーズ) (コバルト文庫)
毛利 志生子 増田 メグミ
4086016613


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読了。

吐蕃へ嫁いだ唐の公主の、波乱の人生を描く、少女向け歴史小説シリーズ、二十四冊目。


吐蕃王ソンツェン・ガムポの名代として、仏寺建立の経過を検分した翠蘭は、チム氏の次男ゲンパへ出仕を要請しにいった矢先、唐の皇帝の使者・僧侶王玄作らがアルジュナなるものにギャカルで捕らえられたとの報を受けた。王玄作はネパールのナレーンドラ王に保護されたが、ラサのハルシャ王は崩御したという。ナレーンドラ王への礼と王玄作の見舞いのためにネパールへ行くことを決意する翠蘭は、その案内役にゲンパを指名した。詐術を弄して翠蘭を遠ざけようとしていたゲムパだが、翠蘭と辛辣な問答をしたのちに案内をひきうける。



ネパール編の第二弾です。

前巻の内容が記憶的にかなり怪しいのですが、推理しながら読みました。

歴史的な激動期を舞台にしつつ、生まれも育ちも文化も異なる、確固とした自己をもつ人物と、いかにして理解しあい、信頼関係を築いていくか、そのときどきに発揮される翠蘭の公正さ、強さ、義理堅さ、善良さと情の深さがシリーズのよみどころなのかなーと思いはじめている、今日この頃。

今回の翠蘭の征服相手(笑)は、チム氏の次男ゲンパ。
幼いころから頭脳戦に長け、翠蘭を吐蕃へと向かわせることになった吐蕃と唐との戦いにも少年ながら関わっていたという、“賢者”です。

にもかかわらず、いまは山で隠遁暮らしをしていて、兄弟にすら誤解されて鼻摘みもの扱いされている、くせ者でもあります。

この巻では、あえて危険な詐術までおこなって翠蘭を遠ざけようとしたゲンパの、ひととなりとそれを育んだ過去のいきさつがあきらかになり、硬く凝っていたかれのこころが、翠蘭たちの来訪を機に変化していくさまを描いていて、とても面白かったです。

また、いままでは翠蘭がひとりですべてを背負っていたのですが、この旅には王太子のラセルが同行しているため、そのぶん話にふくよかさや明るさが増しているようでした。

とくに、ラセルの愛犬ヤブリムとウーモは、グッジョブなのです。

それから、ネパールへの道中、吐蕃とは異なる文化に触れていくあたりがとても興味深かった。
ネパールはどうやらインド文明圏なのですね。
厳格な身分制度や、それにともなう複雑なしきたりだけでなく、インドの帝王学のようなものがかたられるのもへええと思いました。
サブタイトルは、その考えを踏襲したものだったのですね。

ようやくたどりついたネパールの王宮内にもなにやら不穏な空気が漂っているのは、もはやお約束w

今後は、王玄作を襲った賊の件と王宮のなにかがからんでいくのではないかと、またもや勝手に推測中です。

つづきは、すでに刊行済みです。
風の王国 抱玉の臣 (風の王国シリーズ) (コバルト文庫)
毛利 志生子 増田 メグミ
408601694X

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