『天冥の標 I メニー・メニー・シープ上』

天冥の標〈1〉―メニー・メニー・シープ〈上〉 (ハヤカワ文庫JA)
小川 一水
415030968X


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読了。

入植三百年後の植民惑星を舞台に、弾圧を強める権力者とそれに虐げられる人々の相克を描く、遠未来SF。シリーズ開幕編。


着陸時の事故により地球とのつながりと多くの技術を失って、文明後退が進んでいる植民惑星メニー・メニー・シープを舞台に、なにかを画策する支配者と、かれらに虐げられる労働者たちの苦境を描く、群像劇です。

地球から遠く離れた植民惑星を舞台にしていながら、技術レベルは現代より低め。
社会システムは総督という専横者の存在する名だけの民主主義。
なので、読み出すハードルはそれほど高くないと思いました。

視点人物は、首都の大学を出ながら故郷に戻って開業医をしているカドム。
遺伝子操作で酸素呼吸を必要としない身体を持つ《海の一統》の若きリーダー、アクリラ。
植民地議会の女性議員エランカ、などなど。

スピーディーに切り替わるさまざまなひとびとのストーリーによって、この惑星の社会システム。そのかかえている問題が浮かび上がってきます。

エネルギー資源のない惑星に入植しちゃったというのが最大の問題なメニー・メニー・シープ。
唯一電気を生み出せるかつての植民船を独占している総督府が、発電炉の不調を理由に理不尽に配電制限を強化しはじめたことによりひとびとの暮らしは逼迫しています。

必然的に不安定となった社会を慰撫するどころか不満分子への弾圧を続けていく総督府への不信、反発、怒り、が作品基調。

これって、革命小説なのかな……?

謎の感染症による感染爆発の恐怖や、謎の生物や、新天地を目指す試みや、先住民の虐待や、アンドロイドの人権問題やと、素材てんこ盛りでがんがん進んでいくお話にどんどんページをめくってしまいました。

描写はいらないので、はやく話の先を知りたい、とわたしが思う本は珍しい。

というわけなのではやく下巻を手に入れようと思います。

天冥の標〈1〉―メニー・メニー・シープ〈下〉 (ハヤカワ文庫JA)
小川 一水
4150309698

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