『八百万の神に問う 1 春』

八百万の神に問う1 - 春 (C・NOVELSファンタジア)
多崎 礼 天野 英
4125012458


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読了。

近世和風異世界ファンタジー、シリーズ開幕編。

面白かったー。
ひらたくいうと江戸時代風の異世界を舞台にした人情時代小説ぽいファンタジーです。


天ノ神と大地ノ神は、傷つき疲れた人びとのために常世ノ山の麓にある楽土への門を開いた。楽土には病も飢餓もなく、身分上下も存在しない。ただ、その門をくぐるには守らねばならぬ掟があった。楽土で起きる諍いは暴力ではなく、言葉によって解決されなければならない。

その調停役を担うのが生涯に一つの杖を持ち、たくみな言葉でひとびとのこころを調和させる、音導師と呼ばれる者たちである。

少女サヨは、里長の息子カンナギの誘いによってナナノ里の専属音導師となった。
美しいカンナギと可憐なサヨはどこから見てもお似合いの一対だ。
だが、サヨはカンナギとの関係を発展させることを望まなかった。彼女には専属音導師としての責務がある。

ところが、里長のショウギがあらたな専属音導師として白髪の女イーオンを連れて戻ってきた。
慕っていたショウギの仕打ちと、イーオンの横柄な態度に腹を立てたサヨは、相手が伝説のシン音導師と知って驚きながらも、決着をつける音討議の申し込みを受けてしまっていた——。

というようなお話です。

前作『夢の上』などと比べると、語り口が軽快で、リズムに乗ってほんとうにかたっているようでした。

ツンデレやメタボに漢字をあてた、日本語ならではの言葉遊びもおもしろい。

うつくしくうつろいゆく自然に宿る個性ゆたかでゆかいな可見さまたち。
大きな猫さん。

これまでになくコミカルな登場人物たち。
強烈な個性のガガ様は最高でしたw

諍いを調停する音討議の行く末と、伝説の音導師イーオンの活躍は飛躍が楽しくて、それだけで時代小説ぽい痛快さと、人情物らしいしみじみとした優しさがあります。

そして、この巻のメインは、うら若き音導師サヨの越し方行く末なんですね。
あきらかに思い思われている仲なのに、なにゆえカンナミとの関係に距離を置こうとするのか、周囲が囃したてればたてるほどかたくなに音導師であることにこだわるのか。

彼女の矜持を支えているものの正体と、過去とのしがらみの清算。
楽土というあの世を目前にひかえた場所を舞台にした、じつにファンタジーらしい、解放と癒しを与えてくれる展開でした。

わたしは、読みながら、楽土の里の位置関係をぼんやりと考えておりました。

ほんとうは楽土なのはロクノ里までで、ゴノ里におりる途中にある赤い鳥居が境界線で。
赤い鳥居からさきは黄泉比良坂なのかなーと。

ゴノ里からイチノ里までは、楽土の門前町なんだろうなーと。

でも、ナナノ里から鳥居を逆戻りしてイチノ里にもどることはできるようですが、そこから外界に戻ることは可能なのかしらん?

サヨの因縁は解けたので、次巻からはイーオンが本格的に活動するのかな。

キリスト教ぽくてフランス人ぽい、異国のひとびとの参戦もありそうだし、異文化接触のトラブルが生まれるのかも。

名無し少年とイーオンの名が同じなのが意味深でたまりません。

じつは初読時からすでに三ヶ月が経っています;

それから何度か読み返しているのですが、ぜんぜん飽きません。
最初はそこそこ面白いな、程度の感想だったのですが、読み返すにつれてどんどん面白さが深くなってきたような気がします。

そんなこんなでやっと感想書きました。
ので、つづきをようやく読むことができます。

八百万の神に問う2 - 夏 (C・NOVELSファンタジア)
多崎 礼
4125012601

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