『五龍世界(ウーロンワールド)III 天鏡に映る龍』

五龍世界III: WOOLONG WORLD 天鏡に映る龍 (一般書)
壁井 ユカコ
4591132366


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読了。

駆け出し道士の女の子の成長を描く、近代中国風異世界ファンタジー、シリーズ第三巻。


五頭の龍のからだによってつくられた中域(シン)の国。十五歳の道士ユギは、辺境にある兎雨県に毎夜襲いかかる獣の屍の群れに立ち向かっていた。ところが、ともに闘ったひとびとは新米のユギを信用せず、事件の首謀者の疑いまでかけられて傷心のユギが廟に戻ると、安置されていた師匠・趙道士の棺がなくなっていた。追いかけて対峙した棺泥棒の道士は師匠の義兄弟を名乗り、ユギの目の前で師匠の亡き骸を燃やしてしまう。ユギは事を指示したという師匠の師匠を尋ねるため、符力の左慈とともに天道教の総本山・八華山を目指して旅立った。



面白かったです。

派手な立ち回りが多かった一、二巻と比べると大人しめな展開ですが、そのかわり、心にたまった屈託や葛藤を鏡に映すように描き出して、お話に説得力が増す巻でした。

ユギの小さいころのエピソードがせつなくて、いとおしい。

イルラックの過去はこれまでも何度か書かれてきましたが、中域にやってきたいきさつは初めてで、これも興味深かった。

そして、八華山での、思いもよらない出会い。

師匠の師匠・劉濤華の態度に当惑し、その符力に驚愕するユギといっしょに、読み手のわたしも怒って泣いて、と忙しかったです。

師匠の義兄弟の大虎が豪快で楽しかった。

あー、このシリーズ、固有名詞を入力するのが面倒だwww

奇景をすんなりと脳裏に像を結ばせ、心のひだをこまやかに描くと同時に、立ち回りのスピード感が裂帛の気合いとともに伝わってくる文章がすてきです。独自のスタイルを感じます。

お話はたぶん仕込みの段階。これから劇的に展開するのだろうと期待しております。

シリーズ開幕編は文庫化されています。
五龍世界 WOOLONG WORLD: I霧廟に臥す龍 (ポプラ文庫ピュアフル)
壁井 ユカコ
4591132153

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