『魔使いの運命』

魔使いの運命 (創元ブックランド)
ジョゼフ・ディレイニー 田中 亜希子
4488019900


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読了。

近世ヨーロッパを舞台に魔使いの弟子となった少年の成長を描く、土俗的なファンタジーシリーズの八巻目。


七番めの息子の七番めの息子トムは、生まれながらに魔物に対抗する力を持っており、魔使いグレゴリーの弟子となった。外敵の侵攻によって修業の地を破壊されたトムは師匠と幼なじみの魔女アリスとともに国外へと逃亡。モナ島での迫害を逃れたかれらはアイルランドへとたどり着いたが、街では〈囁き魔〉が蔓延し、トムは夢の中で悪意を持つ魔女に脅迫されつづけていた。そんなおり、魔使いの評判を聞いた土地の地主連合の代表がグレゴリーを訪ねてきた。山羊の魔術師との闘いに力を貸して欲しいというのだ。




面白かったです〜。

上にかいた今回のストーリーと同時に、シリーズ的なストーリーである魔王との戦いも大きく動いて、淡々と書かれていますがわたしとしては阿鼻叫喚のジェットコースターでした。

トムをつけ狙う魔王とトムの間を隔てるのは魔王の娘であるアリスとの絆。
しかし、師匠はトムのために真性の魔女となりつつあるアリスをなかなか受け入れることが出来ません。

三人の間の微妙な緊張関係がずっとつづいているのが、この話の不安定要素であり、スリリングなところでもあるのだと思います。

山羊の魔術師たちと戦いも、なかなかどろどろしてすごかったです←褒め言葉。
かれらの崇める神の二面性も興味深かった。
人間が神に力を求めてどんどん信仰をゆがめていく姿は、なるほどなーでした。

宗教の起源とかその変遷とか、このシリーズを読んでいるといろいろと考えてしまいます。

グレゴリーじいさんがどんどん老けていくのがせつない。
いつも強気なアリスがトムを護ろうとしてどんどん追いつめられていく姿もせつない。

つめたい土の手触りと、脈打つ血の熱さ、苦しみの汗を感じつつ、非情な物語を堪能しました。

ところで、前回は時代は中世と書きましたが、やっぱり近世ではないかなと考え直しました。
本文にははっきりとは書かれていないのですが、チペンデンが襲撃されたのはイングランドのスコットランド侵攻のときなんじゃないかな。
『時の旅人クレア』の時代背景と似通ってるような気がする。

地主連合が箱馬車を持ってたりするしね。

読んでる途中で、このシリーズはこれで完結するのか、と色めき立ったわたしですが、いや、まだまだ続く模様です。

とにかく、可哀想なアリスをなんとかしてあげて欲しいです。

シリーズ開幕編はこちら。
魔使いの弟子 (sogen bookland)
ジョゼフ ディレイニー 佐竹 美保
4488019528

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