『デアラピス』

デアラピス
小瀬木 麻美
4488024955


[Amazon]

読了。

施設で育った少女が、突然あらわれた美貌の兄との出会いにより、その数奇な生い立ちをしらされる、SF風味なファンタジー。


物心ついた時から人にまつわる色に魅せられてきた少女、真梨亜。身よりの無い少女たちの暮らす施設で育った彼女は、高校生のある日、兄と名乗る美貌の青年・譲とともにその地を離れた。譲に生い立ちと生まれ持つ特殊な能力とを知らされ、そのために身を隠して暮らさねばならなくなった真梨亜だが、譲に深く思いを寄せるようになった彼女にはなんの不満もなかった。数年後、ふたたび日本に戻ったふたりは、小田桐静聴ルームと銘打った部屋でカウンセラーもどきの仕事を始めた。



『ラブオールプレー』の作者さんのファンタジーです。

ひとが、まとうそれぞれに独自の性格や思い、体調を色として見抜くちから。
憧れ。
初恋。
嫉妬。
歳をとらない美貌の存在。
人工的に生み出された命。
力を増幅する貴石。
運命のパートナー。
ひとがひとに抱く、愛と憎しみ。
禁断の恋。
力を伝える古い血脈。

そんな、たくさんの萌え要素をつめこんだ、言い替えればちょっと欲張りすぎたように感じられるお話でした。

ワンシーンワンシーンはとても丁寧で、おちついた文章の流れで読みやすいのですが、要素がありすぎて焦点がぼやけてしまったようです。

とくに、強い絆で結ばれた幼なじみの祐未さんの存在感が素敵すぎて、ただひとりの兄・譲のかけがえのなさを食ってしまったような気が。

譲の長く孤独で寂しい背景がかすんでしまったせいで、話のメインイベントの必然感というか宿命感も薄れてしまいました。

物語の舞台になっている場所がわたしにしてはなじみがあり、なんとなく想像ができてたのしかったので、よけいに残念でした。

つづきがあるのなら譲さんメインでお願いしたいと思います。

Comment

Comment Form

管理者にだけ表示を許可する