『ダイナミックフィギュア 下』

ダイナミックフィギュア〈下〉 (ハヤカワSFシリーズ―Jコレクション)
三島 浩司 加藤 直之
4152091967


読了。

外宇宙から襲来した敵との人類存亡を賭けた戦いを、日本独自に開発した巨大ロボット・ダイナミックフィギュアを軸に描く、近未来SFロボットアクション小説。下巻。

ううーん。面白くないわけではないし、一気に読めてしまいましたが、ちょっと期待とは別方向に進んでしまったかなあという、もったいない感じの残る読後感でした。

もちろん、読んでるわたしが抱く期待というのは、基本的に自分勝手なもので、書き手さんには無関係のものなんですけどね。

物語世界の土台となる基本設定はとても魅力的でした。

まず目につくのは、敵の送り込んだ生命体キッカイとの戦い。
未知であり進化するキッカイに対抗するために生み出された、謎の特別攻撃機ダイナミックフィギュア。

よりSF的な飛躍としては、敵のもたらした、絶対的忌避感という対処する術の無い苦痛状態。
存亡の危機に瀕した人類にあらわれる、あらたな変化や性質による差別や思想的分断。

ちりばめられた牢獄テイストの固有名詞に、現実的な政治システムと外交関係。

細部はとても緻密に造られているなと感じました。

けれど、人間たちの、危機的な状況下で息子や娘に未来を残そうと見当違いでも精いっぱいの努力する大人たちと、それを受けとめた子供たちの決断のドラマと、
“襲来者たちの正体と地球にやってきた目的をあきらかにする”というSF的な要請とがうまく噛みあわずに、なんとなく話を散漫にしてしまった、ような気がしてしまいました。

結末は決まってたんだと思うのですが、そこに至るまでの細部とか濃度とかが、もうすこしほしかった、ような気がします。

そうですね、ラノベレーベルで、少年少女メインのストーリーで書かれた本だったら、こういう不満は抱かなかったかも。

ターゲットは、ラノベでSF好きになったけど本格的なSFは未経験なひとだったのかな。

個別のキャラクターは、読んでて興味深かったです。
前巻で目をつけていた佐々隊員は、八面六臂どころか、活躍しすぎで笑ってしまった。

そして、安並風歌さんの変貌には、度肝を抜かれましたw
是沢銀路の演説とはまた違いますが、風歌さんの口上は怖えwww

例によって文庫化済みです。
ダイナミックフィギュア(下) (ハヤカワ文庫JA)
三島 浩司
4150311129

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