『八百万の神に問う 3 秋』

八百万の神に問う3 - 秋 (C・NOVELSファンタジア)
多崎 礼
412501275X

[Amazon]

読了。

和風異世界ファンタジーシリーズの第三巻。

天路国の楽土でゴノ里の防人をつとめる若者トウロウ。おだやかな物腰でだれからも親しまれるかれは、じつは出散渡国の軍人であり情報提供者だった。ついに真の楽土へ行けという命令を受けとったトウロウは、死期を悟りナナノ里へ発つミサキ音導師のつきそいを申し出て鳥居道をくぐりぬける。そこでかれは、思いもかけない人物と再会して動揺する。楽土に対する怒りと憎しみをつのらせたトウロウ。シン音導師に見抜かれたトウロウは、彼女と厳しく対立することになる——

というようなお話です。

うら若き音導師サヨ、異境者の少年シンとつづいたメインキャラクターは、今回は出散渡人でありながらすっかり楽土の住人としてなじんでいる若者トウロウにバトンタッチされました。

常に笑顔で周囲に真意を悟らせない凄腕の剣客が、心に抱え込んでいる深い闇と孤独がようやくあきらかになる展開です

随時ライアン・ハートなる人物について語る告白の章が挟まれますが、これがまた、嫌が応にも好奇心をそそる材料になりまして、上手い構成だなあと思いました。

楽土に住みながら楽土になじまず、楽土を拒みつづけるイーオンの存在が、トウロウの迷いを深くするあたりもおもしろかった。

このふたり、感情的には共感しあってもいいはずなのに、なぜか対立してしまうんですよねー。

それはトウロウの抱える矛盾したつよい感情の為せる技なのですが、凝り固まって視野狭さくに陥った者は、なかなか冷静にはなれないものなのですよね。

今回も物語は音討議でクライマックスを迎えますが、この音討議がほんとうにおもしろい。

音導師って弁護士みたいだなと思います。
観客すべてが陪審員。その場のすべてに共感させることによって、みなが納得できる結論が生まれるのは、いいなあと思います。
それは楽土という土地柄のおかげで、現実にはこんなにうまくはいかないんだろうけども、理想的な紛争解決法だなーと。

出散渡国とフィランスロ教の関係は、西欧とキリスト教の関係に相似してますが、フィランスロ教の元になったキアナ島の伝説というのがあきらかになって、そんな皮相的な話ではないのだなということがわかり、これにも興味津々です。

エピソードの終わりがしみじみと心をうつのもこのシリーズのよいところですね。

そしてまた、ラストシーンに驚愕して次巻へつづきますw
つぎは完結編。すでに読了済みです。←珍しい。

わたしの贔屓はシン少年です。イーオンに弄ばれつつ、日々を頑張って過ごしてます。

八百万の神に問う4 - 冬 (C・NOVELSファンタジア)
多崎 礼
4125012946

Comment

Comment Form

管理者にだけ表示を許可する