覆面作家企画6 Dブロック感想

覆面作家企画6、Dブロックの感想です。

巷で噂のDeathブロックを前にして緊張気味。
ここにはお知り合いだと於來さん、茅さん、鈴埜さんがいらっしゃいますね。
まあ、於來さんは順当として←、茅さん、鈴埜さんまでDeathに加わってらっしゃるとは、なんということか。


D01 とある罪人の告白

淡々とした独白に惹きつけられました。丁寧な語り口で灯火の番人の生活や価値観がよく判ります。
仕事柄、つねに見守るだけの傍観者でいなければならないことを、誇りと感じていたはずの主人公が、とある事件をきっかけに義憤に駆られて禁忌を犯してしまう、その過程もとても納得できる。

そうだよね。これを見て見ぬふりができるなら清らかな善人とはいえないよね。

しかし、その後の急転直下にびっくり。

ええ、なんなの、どうしてなの?
番人さんならずとも納得がいかないよ!

まんまと作者さんの仕掛けにハマる読み手でありました。

ふと、番人さんがずっと傍観者のまま話が展開したら、どうなったのかなあ、などと考えてみたりして。書くの、難しそうですね。

そして、のっけからもう数人死んでいる。


D02 顔(※注)

日本の民話風残酷物語。

稲荷神社のお祭りで狐のお面を被って舞う若い男女。
華やかな舞台の上で起きる事件が衝撃的でした。

これって狐のお面に宿る神の化身なのかなー、お信さんのお母さんなのかなー、狐のお面があれば誰でもなれるのかなー。

途中、語り手の口調が変化するところがあって、そこから語る相手が変わったように感じられたのですが、実際はどうなんでしょう。

狐につままれたような心地のお話でした。

これ、於來さんに似てる気がする。気がするだけかも。

流血事件だけど意外と死者はいないような?


D03 Gore -青き死神-

エボラ出血熱? と思いながら読みはじめました。
伝染病の名前が鳳仙花というのが美しいですね。それを焼き尽くす力を持つDBは、はい、条件反射的に思い浮かべてしまいましたが、もちろん某プロ野球チームではありません。

新婚のご夫婦なのに、なんだか少し変、と思いつつ、その違和感の正体が判明したらもう取り返しがつかなくなっていた←読み手的にです。

言語によって同じ単語でも意味が違う、そのことで生まれるふくらみというか、複層的な認識が、かれにもたらした解放が印象的でした。

悲劇なのに美しく、悲壮でもないラスト。よかったです。

そして、死に至る伝染病が蔓延している世界なので背景ではたくさん死んでらっしゃると思われますが、主要人物が複数お亡くなりに。


D04 アマヤドリズム

死人続出怨念噴出のブロックの一服の清涼剤でした。

雨降りの田舎のバス停で生まれた、予想外で素敵なセッション。
音楽の表現が豊かでこまやかで専門的。
これはかなり音楽に造詣が深く表現にも慣れた方の筆だなあと思いました。

タイトルもかっこいい。
このままアルバムのタイトルにできそうです。

死ななかった、死ななかったよ。あーよかったあ。


D05 記憶

お墓参りをかねた縁遠い親戚との会合に駆り出された、現代的な彼女の思い出ホラー。

祖父母の住む田舎だというから祖父母がいるはずなのに、出てこない。両親も兄弟も出てこない。まるで意図したように親しくない親戚ばかりが集まっているかのような集合場所の描写に、すでに居心地の悪さを覚える冒頭です。

しかも、奈美さん、お墓参りになってカッコをしてきてるの。
親御さんの監督もないのかなあ、でも親戚の集まりにいやいや来る程度にはつながりがあるはずだよね。親とも疎遠なら親戚なんかには絶対寄りつかないと思うんだけど。うーむ。

奈美さんを見て不審な態度を取る親戚の男性の登場から、夢の少年に結びつくくだりは。ひいぃ。

こんな過去があったら、親御さんも把握していると思うんだけど、その上で娘を行かせたというなら、親子関係も殺伐としているのかなあ。

事件とは無関係なところで薄ら寒さを覚える、方向音痴の読み手でありました。

過去に死者。未来に死者?


D06 ひだね

平仮名で書かれた童話風な出だし、集落滅亡の危機を迎えたシリアスな本文。
おとぎばなしとしてまるくなった伝承と、ごつごつしたリアルな現実みたいなギャップ感が興味深いお話でした。

しかも、円環構造?

これがエンドレスで繰り替えされるなら、気の毒なのは魔女様の方なのではなかろうか。

このお話、鈴埜さんのような気がするんだけど気のせいとも思えます←どっちだよ。

戦やなんやかやで大量に死んでいると思われますが、確定できるのは……?


D07 Waiting For The Fire Never Come

横文字タイトル……!
このフレーズなんか見覚えある! でも思い出せない!

SF風味の西部劇コメディでしょうか?
ワイルド・パンチ強盗団の刹那的な馬鹿騒ぎが賑やかで楽しいです。
神様のシステム?も印象的。
軽快な会話で展開する話がアクションで彩られてて、たいそうスピード感にあふれたお話でした。

これも鈴埜さんぽいわ……どうしよう←どうしようがあるのか。

これも死んでない(歓喜)。


D08 火童子

冒頭からはっとなる筆力の高さ。
民話風だけどずっしり中身が詰まってて、骨太で土の香りのするような描写力。
火童子の存在を説明することなく、読み手にそのまま受け入れさせる文章の説得力が凄かったです。

ダッシュとリーダの長さがかなり特徴的ですね。

死者、タイトルロール。


D09 焦げた着物の少女

男子大学生の悪夢の話。
あー、そうか。彼が見ていたのは前世じゃなくて土地の過去だった……のかな?
女の子が安堵したのはそれでかな、復讐エピソードはどうなったのかな。
読解力が不足しててすみません。

居眠り主人公にさりげなく絡んできた吉信青年の存在に興味津々です。
いったい彼はどういう存在でどういう力を持ってるのでしょう。
彼を主役にしたらシリーズができそうだな、と思いました。

死んでないけど死んでた話でした。

うーーん、これが鈴埜さんという気がした。鈴埜さんの名前を出すの何回目でしょう。

D10 灼かれた者

心理サスペンス小説と呼べばいいのでしょうか。
ひりひりと辛いお話でした。
弟を自殺に追いやったものへの復讐に身を焦がすヒロイン。
卑劣な周囲の反応と、焼けるような心理描写に、冷や汗が流れそうでした。
彼女の心情に共感しきったわたしは、そうだ、弟を傷つけたその友人には天誅を与えるべし、と心の中で叫んでおりましたが、まさかこんなことになろうとは。

世の姉族の心胆を寒からしめる展開でした←一応弟のいる姉。


D11 葬送

オレオレ詐欺か! と早合点しそうになった冒頭、おばあちゃんの独り昔語りの始まりになるとは思いませんでしたが、なんだかものすごい人生経験値のあるお話になってって、うわーすごい女の一代記じゃあ〜となりました。

内縁夫婦の微妙な関係と、戸籍上の関係が切れずにいた本妻さんとの会見と、おばあちゃん、すごい貫録ですね。複雑な男女関係から本妻さんの息子さんのひととなりまですうっと理解できてしまう文章もすごい。

旦那さんの置き土産をあっさりやってしまうおばあちゃん、かっけー!

何の脈絡もなく、これ……茅さん? と思ったのだけど、多分違いますね、うん。

今までの理不尽な死と違っていうなれば心残りなく天寿を全うされたものだったので、これはうん、納得でした。


D12 業火

これも女性の語り手のお話です。
このブロック、多いですね。娼館絡みも二作目ですね。
女の業が叫ぶからなのでしょうか←。

娼婦の母親を早くに亡くした姉妹。
娼館で姉に守られて育った妹は姉が大好きで、姉を蛍にたとえたあたりが印象的でしたが、これはその姉の美しさが招いた悲劇って事なんでしょうね。

しかし、わたしが言いたいのは、世間知らずにも程があるぞ、男! ということです。
義理堅いなら最後まで面倒見てやれよ、こんな中途半端な放り出しかたするなよ。

まあ、これがもっと世慣れた男だったらこの話成り立たないんですが。

とりあえず、平穏そうなシーンで終わったのでほっとしました。

死者一名……で済んでるのかな?


Dブロック、感想は以上。
推理としては鈴埜さんを複数発見したということで、またあとで検討します。時間があったら。

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