覆面作家企画6 Eブロック感想

覆面作家企画6、Eブロックの感想です。

Eブロックにおいでのお知り合いは、冬木さん、塩さん、文月夕さん、盲管さん、白馬さん、紅月さん。これは心してかからないといけませんね、とくに冬木さんは当てたいです。


E01 生きてさえいれば

異世界でのひきこもりのお話。
劣等感と孤独感と後ろめたさと自己弁解が痛い独白で、原因経過日常が描かれた後、突然の暗転。
そして雨降って地固まるなのかと思ったら、、、。

引きこもる間にすっかり自分に自信を無くしてる主人公が哀れでつらかったです。
お父さんが、そしてお母さんが怪我をした時、きっかけはあったのに部屋を出ていくことが出来なかったのは、まだお姉さんが頑張っていたからなのかな。

お姉さんがふつうに倒れていたら、今度こそ勇気を奮っていたかもしれない。もしかしたら。

しかし、そんな機会は与えられなかったのですね。うるうる。

ところで、火を出すという力といってもいろいろバリエーションがあるものだなあ、と感心しましたが、他の種類の能力者はいないのかな、という素朴な疑問も。

あと、逃げた時に持ってたのがお父さんの同人誌ってのに腰が砕けました。
いや、これそういう話じゃないですから、きっと。

と、ここで他の方の感想を読んできて知った事実、あれ、途中までとーちゃんの同人誌だったの!?

浅はかな読み手で申し訳ありませんorz


E02 キドニーパイをひとくち

イングランドの中流階級くらいのお屋敷に務める女料理人のお話。

クリスマス当日の厨房の様子が生き生きと描かれていて、賑やかかつ華やかでした。料理に華やかは変かしらと思うけど、メニューの数々がつらなる文章を見てるととても現実の話とは思えなくてですね、つまり中身が想像できない料理下手には魔法の呪文なわけですね横文字メニュー。

ついクリスティーの『クリスマスプディングの冒険』を思い出して構えていましたが、別段殺人事件などは起きず、料理人のミセス・ストーの個人的な履歴とお屋敷への愛着、新しい環境を望むか否かの決断と、たいそう地に足のついたあたたかなお話となりました。

個人的には、ミセス・ストーの旦那さん誰でどこ? ってのが一番の疑問です。

……これ、冬木さんじゃないかな。
冬木さん、最近ついったーでお料理についてつぶやかれてることがあるのですが、その時の文章がこんな感じな気がするのですよね。イングランドの階級社会や料理メニューなんかは、冬木さんがたくさん読んでこられただろう英国児童文学にたくさんでてきますし。

文章も、いつもの冬木さんを文字数制限できりきりしぼった感じがします。

とか書いて大丈夫かな、別企画で自信たっぷりに名指ししたのが大外れだった過去が(汗。


E03 火を目指して飛んでいけ

体の弱い幼なじみの従姉妹との交流の話。
暗い予感が影を落とす独白に、読んでいて切なくて苦しくなりました。
ヒロインの不安と焦りに、すでにひとり失っているという前提があるのが効きます。
大切にしなきゃ、と思っても自分だって大切にされたいお年ごろなんだもの。
いい子じゃない自分が歯がゆくてたまらないのですよね。
たまちゃん、なんでしんじゃったの……。理由が書かれていないのも、胸に来る原因かも。

方言での語りは、いいですね。
よくわからないところはもちろんあるけど、平易な標準語に直したらきっと失われてしまうだろう、複雑なニュアンスをそのまま届けてくれる懐の深さがあるような気がします。

で、これがどこの方言かは、全然わからないのですが。

内容的にこのお話は塩さんが作者だろうと私の第六感が告げております。
塩さんがこれじゃなかったらきっと当てられない、というギブアップ宣言とも言う。


E04 酔夢春秋

自然豊かな深山で暮らす天狗の眷族と人間の女の子のお話。

文章自体が滋味のある大地で育まれた多種多様な生き物たちの世界、て感じの、とても分厚く濃厚で骨太なところが、ものすごく印象的でした。

お話もいい話なんだけど、とにかく、描かれるお山の自然そのものに圧倒されます。

これはきっと白馬さんですよ、動物だし、塊だし。ね、ね?


E05 グラスキャンドルライト

クリスマスに誘われた人気急上昇中のバンドのライブで、元彼との再会を果たす女の子のお話。

少女漫画のキラキラ感が眩しいです。
過去の別れ話をひきずってる前半と、ライブで気がついたあたりのドキドキ、終わった話だと自分に言い聞かせつつも彼の現在を知らないことへの不安と、女の子の恋心がみずみずしくて、読み手の中古の乙女心がきゅんきゅんになりました。

しかも、彼、歌ってますよ。
歌詞もAブロックのとは違う、まともなラブバラードですよ〜。

なんだ、彼ますますカッコよくなってるやん、これでふられたら目も当てられないよ〜〜。

なんて心配してるところに心憎い展開がwwww

これはきっと作者さん恋愛物がお得意なのに違いない。
それにきっとお若いに違いない。


E06 ことのはに

新婚から少したって奥さんとのコミュニケーションが雑になってしまったサラリーマンのお話。

冒頭から窓ユーザーですねと突っ込みつつ読むのはリンゴ使用者のお約束。

登場人物の物腰から丁寧にこころのうちをすくいとるような、さりげなくやさしい地の文がすっとなじんでてとても読みやすかったです。

出来事も何気ない日常で起きるささやかな事件で、これは大掛かりなイベントを仕掛けずとも心理描写や人物の関係性でしっかりとしたお話が書ける、地に足ぺたりの作者さんだなーと思いました。

不思議なお店が消えてしまうのはお約束なんですが、その場合、出された料理はちゃんと体に吸収されているのだろうか。それとも夢幻霞で、じつはなんにも食べてなかったりしたらどうするんだろうか、と思ってしまう貧乏性な読み手です。

第一印象、文月夕さん。印象だけで物言ってますので当てにはしないでください。


E07 暁の女神と黄金の悪魔(※注)

これは……!

キラキラ輝いてますよ、非日常性が爆発していますよ、ドラマティックですよ。
きらびやかさで鮮やかで、ものすごく華のあるお話ですね。

異世界での国同士の戦いを背景に、勝ち戦のシンボルとして祭り上げられたお姫さまの理想と現実、敵として闘わざるを得なくなった幼なじみとの恋と裏切りと、こんな短い紙幅によくもここまでと思うくらいの内容がつぎからつぎへと怒濤のごとく展開するのに圧倒されました。

とくに、彼との再会シーンが、かっこいい!
今回読んだなかではここまで一番ハラハラドキドキわくわくしました!

ファンタジー要素は考えてみたらなかったけど、キラキラしさの演出として異世界が必須なお話でしたね。

これを書いたのはどなただろう。
すごく当てたいです。そして他の作品も読みたい><。

ここで他の方の感想巡りをしてきたのですが、冬木さん説があがってますね。
うーん、冬木さんの文章と思うとそうかも……と思えてくるなあ。
「彼らの粗末な褥となった。」とか、冬木さん書きそうだなあ。
でも、冬木さんはこういう戦記物は書かないような気がするんだよなあ……。


E08 女神は灰の夢を見る

職場で際立った存在感を放つ、ひと呼んで女神の秘密を知ってしまった私のお話。

S女史の存在感、ハンパ無いですね。
どこもかしこもきりっとしていて、なおかつ艶やかで色っぽい。

なぜ私が彼女の秘密を知ってしまったのか、いろいろほのめかされてますが結局謎なままなのが悔しい。セクハラと訴えられるっておびえてますが、じつは私にもなにか能力があるのではなかろうか、などと邪推したりしてみたり。

じつのところ、彼女の秘密そのものは物語上はたいしたことではなく、そのことを打ち明けたシチュエーションの方が大事だったような気がします。

ところで弟さん……ちゃんと生きてるんですよねえ?

段落冒頭一字下げがない文章とアルファベットと記号が半角なのは、フェイクなんでしょうか、それともいつも通りなんでしょうか。


E09 The Phantom Circus, Fire Funeral

なんだかすごいんですが、そのすごさがうまく理解できていない気がする。
あこがれたサーカスと過去の動物園火事のつながりが私の頭では処理しきれませんでした。
淡々とした文章でたたみかけるようにつながって描かれるサーカスのシーンが、くるくるとひらめいてまるで夢のようです。って夢なのか。

サーカスに憧れる少年たちというとブラッドベリを思い出すのですが、あれも私には理性的には理解できなかったからな。いや、何でも感覚的にしか理解できない人なんだけどね。

幻想小説が得意な書き手さんなのかなー、と思いました。


E10 朱樂院家の焼失

退廃と背徳の香りがする、弱者の反乱のお話。
由緒あるらしき旧家のたたずまいと、良家らしい少し気取った名前の数々に、雰囲気あるなあと思いました。

旧家のプライドを笠に着て、自分の得しか考えない嫁さんと姪に太刀打ちできずに縮こまっていた理弌さんが、愛するものを得て少しずつ抵抗しはじめるあたりで、なんとなーく展開が読めるのですが、とにかく、隅々にまで気を配った言葉の織りなす文章が雰囲気を盛り上げます。

ヘタレおじさま様と少女の組み合わせもなかなかのものだなあ、と思ってしまいました。
どれだけヘタレでも、歳が離れていれば経験の積み重ねでなんとか女の子に対抗できるのですねえ……ひとつ学んだw


E11 種火

冒頭、元号からは江戸末期だということが理解できなかった日本史ビギナーです。
でも「歳」て名前を呼んだ途端にあ、と来ました。しかし浮かんだのが『銀魂』だった私には何も言う資格はないでしょう……。

だから池田屋事件のことは聞いたことあるけど、くらいの読み手からすると、きな臭い事件の前触れを告げられた緊迫感と、そのなかでとるいつもの朝食の対比を感じつつ、聞いたことのある固有名詞がいくつかあるなあとかの瑣末事をよぎらせながらの読書、ということになりました。

日本史そのものがお好きなのか、とくに幕末や新撰組に思い入れがあるのか、いずれにせよ、知識が豊富な方が書かれたんだろうなあ。ありきたりの感想で申し訳ありません。

ラストで明かされるタイトルの意味が重かったです。


E12 プロメテウスの崖

単座式二脚戦闘車EPT。
温暖化による海面上昇。
先鋭的エコロジスト。
黒海とカスピ海の間というとバクー油田辺り?
エネルギー安全保障。
ミリタリー知識凄い。
ギリシャ神話のプロメテウス。

うまいこと感想が書けなくて目に付いた部分を過剰書きしてみました。

視野の広さ、スケールの大きさ、必要最小限で状況を説明し、なおかつ描写する文章力と、ヒロインの半生がオーバーラップする展開。

この硬派でありながらさりげなくキザな言葉遣いがアクセントになった文章と、緻密な構成、話のスケール感、どれをとってもこれは盲管さんです。
ですよね!

しかも、さりげなく書かれてるけど、ヒロインが乗ってるのロボットじゃん!
かっこいいお話でした。
どなたかに短編映画にして欲しい。


感想はここまで。

感覚でしか物事を理解しない読み手による根拠の無い印象推理。

冬木さんは02だと思う、07かもしれないけど。
文月さんは06じゃなければ、10かもしれない。
塩さんは03じゃなければわからない。
白馬さんは04でしょう、たぶん。責任は負わないけど。
紅月さん……すみませんわかりません。
12は盲管さんです。とここだけ断言。

Comment

ありがとうございました!

こんにちは、覆面作家企画6でお世話になりました。E11を書いた藤原湾です。
拙作にご感想を書いていただき、ありがとうございました!

実は私も山崎という名に『銀魂』がチラついて、キャストを変えたようなレベルなので、大丈夫です!
もう少し分かり易い話を書ければ良かったなぁと反省です。緊迫感やタイトルの意味を感じて頂けて、その辺りは狙っていたので、ほっとしております。

Re: ありがとうございました!

藤原湾さん、こんにちは。
知識があればもっときちんと理解できただろうなーと自分の残念さを置いておき、お作の「これから何かが起きる」雰囲気は堪能させていただきました。

> 実は私も山崎という名に『銀魂』がチラついて、キャストを変えたようなレベルなので、大丈夫です!

え、そうだったんですか! 『銀魂』おそるべし!
わたしは山崎ときくと「パン祭り」になってしまいますorz

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