覆面作家企画6 Gブロック感想

覆面作家企画6、Gブロックの感想です。

Gブロックにいらっしゃるお知り合いは、みずきあかねさんですね。
よし、がんばるぞ!


G01 いきたいと希う

お盆の送り火のお話?

人の寄りつかない雑木林の中でヒロインが見つけたのは、透んだ青い湖と、不思議な少年たち。

辛い気持ちをつい吐き出してしまったヒロインに、変わらぬ態度で接してくれるふたり。

そのことでやすらぎを覚えた途端にあきらかになる事実に、ああ、やっぱりと思わせるのは、湖の美しさが現実から離れていたからでしょうね。

ただひたすら避難所を求めていたヒロインが、祖母との会話でふたたび追いつめられるシーンに胸が詰まりました。ラストのヒロインの選択にはほっとした。

ところで、冒頭からしばらく、なぜか読み手はヒロインが小学生くらいなんだと思い込んでまして、湖の少年たちもそれくらいなんだと思ってました。身長120〜130センチ位? それくらいのイメージで子供たちの脳内イメージが展開されていたので、途中で高校生だと気づいてから軌道修正に手間取りました(汗。

しばらくして、少年二人が某アニメの登場人物に似てるかも、と思いつき、ようやく新たな映像が結ばれまして、たすかりました。←なにがたすかったのか。すみません、読解力が貧困で。
というわけで、わたしは勝手にリサ、ナイン、トウェルブの三人のイメージで読ませていただきました。ホントに勝手なことで申し訳ありません。

ところで冷やしたスイカはお供え物か何かだったのかな。手に取れるのか取れないのか、食べられるのか←、気になる。


G02 火宅咲(わら)う

都市伝説風怪談?

終電間際の電車の中で携帯電話に向かって女が話す世間話、の「行きつ戻りつ、同じ場所を何度も通りもたもたと進んだ」という文章が好きです。←のっけからピンポイント。

てっきり三人称神視点の話だと思っていたのが、ラストに語り手が現れて、その語り手にひえーーーっ! となりました。

え、え? もしかしてこれ、○が語ってたの?
それにしては彼女のこと知りすぎてないですか、噂で○のことを語られた途端、耳にした人物の個人情報が○に筒抜けになるってことですか? というか、○人格持ってる? すでにあやかし状態? それともなにか憑いてるの?

……怖い……怖いよう……。


G03 これから朝が訪れる

ひどく孤独な生い立ちから、社会とも人とも関わることを避けるように生きている女の子の話。

感じる痛みを無視するために自分の感情を麻痺させてしまうことを覚えてしまったような、淡々とした語りに、かえって痛々しさ強くを感じました。

感情を押し殺した後は自分を自分と認識することすら止め、まるで獣や自然現象のように過ごしていく日々。
そんなときに出会った同じくらいの年の女の子エレナによって、女の子はレイラという名前を取り戻し、彼女の日々は人間のものへと変化を強いられます。

野生動物のように暮らしていたレイラが、警戒しつつも次第にエレナと関わってなじんでいき、それにつれて麻痺させていた感情がすこしずつ芽吹いて、孤独が辛くなり、エレナとのつながりを捨てきれない、しまいにはすがってしまう姿に、人間はやっぱりひとりでは生きてはいけないんだなあと思いました。

ううう、これ泣ける……。

エレナのおばあさんの態度がとても事務的だったのが哀しかったです。
おばあさんは、もしかしたらエレナの置かれている立場も知らないのかもしれないですが。

エレナがレイラに近づいた動機や関わりつづけた気持ちは、褒められたものではないけれど、それでもエレナがレイラといるときに感じていたものは軽蔑だけではないと思います。そのことを認めてエレナはレイラと対等になろうと決めたはずだから。そうしてレイラに会いに来たのだと思うから。

そうです、ふたりの朝はこれから、これから訪れるのです!←いい雰囲気が台無し。


G04 蝋燭

孤島の伝説に惹かれてボートで夜の海に出た男女。遭難した末に孤島で展開される復讐劇。

ミステリアスな少女と下心ありありな男の造形に、冒頭から不穏な気配が漂ってました。
これはきっと何かがあると思っていると、その期待を裏切らないフラグ立ちまくり展開www

読む限り、酷いやつにしか思えない男なんだけど、一見すると魅力的なんでしょうね。
外見とか態度とかで内心を取り繕うすべにたけているのか、あるいはたんに何にも考えてないだけ?

しかし、少女のほうもここまで過激な行動に走るのかと驚きます。
きっとお姉さんのことをすごくすごく好きだったんだろうなあ。
さらに、自分もあんまり幸せな環境ではないのかなあ。
ほかのことに目がいかないってことは、そういうことなんだろうなあ。

ラストのあいまいさに余計に不穏さが募りました。
まさか、彼女まで……いやいや、そうでないことを祈ります。

ところで、孤島の伝説ってなんだったのかな。伝説好きなので気になる。


G05 金糸雀に雨

灰色の街にやってきたサーカス団。背中に金の炎でできた羽を持つ少女。青い瞳の少年。

貧困や差別に苦しむ少年少女が、それでも生きていくためのなにかを見つけ出す物語を、詩的で品のある文章で描いていて素敵でした。

金糸雀、よだか、鱗といった印象的な名前や、グリの街のたたずまいなど、ストーリーを彩るあれこれに独特の雰囲気があって、いいなあ。

まったく関係ないけど、サーカスのチケットがとても気になりました。これ、紙なんだよね、たぶん、団長がまき散らしてるから。それって、手書きなのかな。印刷したのかな。気になる。


G06 ファレと変な魔法使い

国を守護する魔法使いと、かれらに使役される妖精たち。
とっても可愛くて明るくて、ふわふわと楽しいお話でした。

神殿の蝋燭の炎から生まれた火の妖精ファレの語りが弾むよう。
てきぱき家事をこなす姿が目に浮かんできますね。火の妖精ってじつは有能なハウスキーパー?
ご主人のグレン様ラブのあまり変な魔法使いライマの面倒を見るべく送り込まれたファレちゃん、目にした屋敷の惨状に言葉とは裏腹に大張り切りな様子が笑えます。

このライマさん、まるっきり家事無能なヘタレ独身男そのままですねえ……www

それが一緒の布団で一緒に夢を見ただけで←なにげに思わせぶり、夢の中でもファレちゃんが活躍してくれて、それでこの顛末とは、なんという至れり尽くせり!

あげくのくどき文句に開いた口がふさがりませんでしたw おまえはハウルかwww

まあ、わたしはいいですよ、ファレちゃんがよければ、ええ、なんでもいいですよ←

このお話のこの語り口、これはみずきあかねさんではないかしらんと、わたしは思います。


G07 TOMOSU

かなり困窮した生活を送る女性のせっぱつまった現実の話……なのかとおもいきや!

なんだ、こりゃーーーーー!
思わずひっくり返りそうになりました。

この商品、ものすごくシュールなんですけど……関節が全部動くとか、両手両足バージョンとか、そんなバリエーションが必要なのか付け爪五色セットにニーズはあるのかといろいろ突っ込みつつ、つぎには何が出てくるのかとびっくり箱に期待する子供のようになって読んでしまいましたよ、なんだよこれ!

とりあえず、可笑しかったです。

冷静になって読み返してみると、文章はとても読みやすくて情景もくっきり浮かび上がりますし、かなりお上手な方がお書きになったものと思われます。


G08 恋愛未満コンロ。

ハムスターの説明から始まる、青春恋愛小説。
バレンタイン司教に心鷲掴みされましたwww

適度に力の抜けたユーモアあふれる文章で、登場人物の人となり、人間関係、心理状態と、楽しくするすると理解できる、お上手だなあと感嘆しました。

いいお兄さんを演じる主人公の切なさがひしひしと伝わってくるあたり、泣けそうになりました。なのに、悲壮には陥らず、あくまでユーモア交じり。

変なもの食べてお腹壊したバレンタイン司教、とばっちりwww

コアラ顔のひよわっこがじつはとわかる下りに、泣き笑いです。

いいなあ、このお話、わたし大好きです。

サイト捜索の結果、八坂はるのさんのお作ではなかろうかと……思うのですが、どうなんだろう、どきどき。


G09 火球少女

火の玉のようなシュートを放つ女の子に、羨望と嫉妬とむにゃむにゃな感情をいだく少年の、青春サッカー小説。

サッカーが強くて、偏差値が低くて、公立校であるという強み!
身もふたもないリアリティーで、たしかにあるわそういう学校……と深くうなずいてしまいました。

そのリアリティーはサッカーのプレイシーンにも通じていて、畳みかけるようにつづくミニゲームの展開や、リアルにボールの軌跡やプレイヤーの動きが脳内に描ける文章に唸りました。

これはかなりサッカーに精通してらっしゃる方のお作かなあ。
わたしはサッカー部の内実なんてぜんぜん知らないので、そうなのかなあって思うくらいなんですけど、そう思わせるだけの迫力が感じられる描写です。

青山さんと相沢君のぶっきらぼうなやりとりには、不器用な青春を大いに感じてニマニマでした。
青山さんは天然。
相沢君を振り回してることにはまったく気がついていない。
まあ、相沢君が勝手に振り回されてるんだけど、そのこと自体が既に相手を特別な存在だと思ってるって証ですよね。

青山さんは男だと思うことにして平衡を保ってきた相沢君のこころが、いっきにくずれさるラストが、いろいろ想像をかき立ててくれてたいそう美味しかったです。

これから相沢君は受け身の姿勢をやめて攻勢に出られるのだろうか。いや。それよりはやく自覚しろwww

潔い文章、ストレートなお話、爽やかで好きです。楽しかった。


G10 マイノリティ・レポート

ラヒマヤ山脈ってあきらかな造語がなければノンフィクションかと信じてしまいそうな、ルポルタージュ風小説でした。

山岳地帯に暮らす少数民族の祭事・火運びの儀式に同行した筆者の、見たまま、聞いたままを描く、淡々とした文章とそこに挿入される簡潔な説明文が、非常に具体的で、ほんとうに見てきたんじゃないのかと思うほど。

考えてみれば、異世界ファンタジーを異世界ルポルタージュにしただけなんだけど、それにしてもこのリアリティーはすごいです。

作者さんは、民俗学とか文化人類学とかの資料を読み慣れている方かなあ。

グローバル化の波にのみこまれていくなかで、自分たちのアイデンティティをどう保てばよいのか、という質問はとても重たい、ほんとうにどう答えていいかわかりません。

テクノロジー水準がそれほど隔たってないときに西欧と出会った日本は、まだ幸せだったのかもなあと思ってしまったりしました。

キャプションだけの写真部分がずるいですw


G11 イレーネ

西欧近世風の、身分差恋未満哀しいお話、でした。

たったこれだけのことで……ってどうしても思ってしまうんだけれども、それが領民の人生すべてを握る昔の領主ってものなんですよね。法律がないってことの怖さが身にしみました。

宗教改革が起きてるってことは、もう活版印刷があるんだろうなー。
情報が一部の権力者だけのものではなくなってきた時代。
それで領民たちも領主の横暴と自分たちの権利に目覚めてきたてことか。

主人公は職工だから、きっと農民たちよりもそういう情報をたくさんもってるはずなんだけど、やっぱり過去の出会いがあったから、あえて仕事を受けたってところもあったのかなあなどと思ったり。

領主も時代の流れを知ってはいたんだろうけど、多分、理解できなかったんだろうな。
見るからに自意識過剰ですべて暴力で解決な人物ですもんね。
それでおそらく周囲には時代遅れの暴走気味の人材しか残ってなかった。
それがハンス君の不幸だったんだなと……ううう、不幸すぎるよう……。

イレーネお嬢様の赤いスカーフと、武装蜂起した民衆のあげた火の手。
物語を彩るふたつがどちらもかなしくて、辛かったです。

せめてハンス君の願いがかなえられますように。


以上で感想は終わりです。

Gブロックは生きてることが辛そうな人のお話が多かったような気がします。
いっぽうで、やたらとシュールなお話もありましたがw


では、物証なしのフィーリング推理。

G05の繊細さと芯の強さはスイさんかなー。
あかねさんは愛らしさでほとんどG06だと思うんだけど、G07もありうる気がして困ってます。
G08は、そこはかとないユーモアから八坂はるのさんではないかと。
G11は歴史物がお得意そうなカイリさん……?

その他はいまのところわかりません、すみません、ぺこり。

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