ごく個人的な2016年ベスト

2017年、あけましておめでとうございます。

2016年に読んだ中から個人的に面白かった&好きな本です。2016年に読んだというだけで、刊行されたのは違う年のものも多いです。というかほとんど違います。順番は適当で意味はありません。

ちなみに2016年に読んだ本はのべ80冊でした。
しかもそのうち八冊は同一シリーズの再読。近所の本屋の相次ぐ閉店にへこみ、すっかり集中力の消えた頭は図書館に出す予約も面倒くさくなって、それでもまだ残ってる読みたい欲を満たすため、移動図書館でほそぼそと本を選んでいた一年でした。

それも読めずに返却したりしてたんですが……情けないですねえ……。

この記事を書くにあたり読了記録をながめてたら、そんなふうにして読んだ数少ない本すらあんまり記憶に残っていないと気がついて、がく然としました。

すべてが埋もれていく恐ろしい忘却の力にあらがって、わたしの記憶にしがみつく力のあった本は以下の通り。


・月村了衛『機龍警察 火宅』(早川書房)

人型装甲兵器が街中で戦う至近未来を舞台にえがかれるSF警察小説シリーズの番外短編集です。
設定を説明しているとすごく荒唐無稽な話のように思われそうなのだけど、その設定を支える膨大な情報と現実との積み重ねと人間ドラマの相乗効果で、読み心地としてはめちゃくちゃリアル。ハードでタフな警察物でありつつ、国際的な組織によるテロや陰謀を追いかけるインテリジェンスものとしての要素もあり、いろんな楽しみ方のできるシリーズですね。

今回は短編集ということで、登場人物個人に焦点を当てた作品がおもしろかったです。

機龍警察 火宅 (ハヤカワ・ミステリワールド)


・マイケル・モーパーゴ『月にハミング』(小学館)

第二次世界大戦時に起きた事実を元にして書かれた小説です。少年少女がメインで児童書として刊行されており、戦場が出てきたりはしないので悲惨な描写はないけれど、そういう状況の冷酷さ、過酷さ、せちがらさはひしひしとつたわってきます。そんな状況下でおきる日常のささやかな事件とそれによりもたらされるひとびとのふれあい
、なによりも月下のシーンがいとおしい。

ノルマンディー上陸作戦が背景にある、と思って読むとなるほどーとなりました。
コニー・ウィリスの『ブラックアウト』『オール・クリア』と重なる部分もあり、興味深かったです。

月にハミング (児童単行本)


・上橋菜穂子『鹿の王』上下巻(角川書店)

異世界ファンタジーの長編。
濃密で熱くて分厚い世界を堪能しました。
ほかになにか書くことはないかと探したけれどもみつからなかった;

鹿の王 (上) ‐‐生き残った者‐‐ 鹿の王 (下) ‐‐還って行く者‐‐


・妹尾ゆふ子『翼の帰る処 5』上下巻(幻冬舎コミックス)

長年追いかけてきた異世界ファンタジーシリーズがついに完結。
新刊が出る度に既刊をあたまから読み返していたのはこのシリーズくらいですね。
何度読んでも新しい発見があるし、かわいいし、面白いし、ほんとうに楽しい時間をすごさせてもらいました。
異世界の質感や魔法の濃密度では国内作品でもずぬけていると思います。

それだけでなくこのシリーズは、この作者さんとしてはすごく娯楽性を追求した作品だったなーと、思います。登場するキャラクターがみんな立ってて、それぞれにドラマがあり思いがかたむけられる。すばらしい。異世界性とこれを両立させるのって、大変だったのではないかと思います。長い間本当にお疲れさまでした。

翼の帰る処 5 ―蒼穹の果てへ― 上 翼の帰る処 5 ―蒼穹の果てへ― 下


・宮部みゆき『荒神』(朝日新聞社)

時代小説かと読んでいるととんでもないものが現れてくる、恐ろしい話でした。
例によってなんの予備知識もなく読み始めたので、そりゃあ驚いたのなんの。
知らないひとには同じように驚いて欲しいので詳しいことは書きたくないのですが、いちおう、ジャンルとしては伝奇物なのかなーと思います。でも出てくるものが! その強烈な存在感が!

こんなスケールの大きなパニックあんどパニックな伝奇小説は初めて読みました。

こんなになっちゃっていったいどうなるんだよ……久しぶりに読んでて手に汗握りましたが、作者さんは一流の娯楽作家さんなので安心です。

荒神



その他の印象に残った本。
・米澤穂信『王とサーカス』
・西條奈加『刑罰0号』
・辻村深月『ツナグ』『ハケンアニメ!』
・加納朋子『はるひのの、はる』
・養老孟司『身体巡礼 ドイツ・オーストリア・チェコ編』
・アーナルデュル・インドリダソン『湿地』



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