『蒼き狼』

蒼き狼
井上 靖
4101063133

[Amazon][bk1]

家族の本棚から拝借して読了。
近日公開の映画とはこちら関係ありませんが(映画の原作は森村誠一)、私の選択には関係あったかなと(それ以前からモンゴルにはちと興味があったのですが)。
内容はモンゴルの英雄チンギス・ハーン(作品中ではチンギス・カン)の一生です。

読んでいてうーむと思うことの多い本でした。
なにがどう、うーむなのかというと説明しがたいものが。
とりあえず、戦争の経過を淡々と延々と語られてもあんまりおもしろくないかなあ。主役が主役だから戦が多くなるのはしかたないんだけども、教科書みたいな事実の羅列ではよほど背景を知らないと感情移入できなくて眠いです。
冒頭の文章は伝説のように格調高くて、わくわくしたんですけどねー。
ワタクシ的には戦は経過報告だけならはしょっちゃってくれてよかったんじゃないかと思いました。
ホント、文章は無駄のない刻印のような文章で、こういう書き方もあるのかと唸らされるところが多かったです。

物語的には主役に感情移入するのがむずかしい話であったかと思います。はじめから主役は人好きのする人間としては書かれてないんですよね。だから、どうしてかれのまわりに人間が集まってきたのか、よくわからない。それでも前半の、トオリル・カンを倒してモンゴル高原を統一するまではなんとか思い入れできたんですが、それ以降の侵略虐殺にはどうにもこうにもついていけませんでした。何百万人もの命を踏みつぶしたのがすべて自己確認のためなんですか……はあ。
それが根本にあるとしても、それだけじゃなー。
大陸を席巻したモンゴル軍の集団としての意識がどうだったのかとか、そういうところも読んでみたかったような気がしました。ま、そういう話じゃないんだろうけどね、これは。

あと、これは発表年代からして仕方ないのかもしれないけれど、固有名詞の表記が統一されていないので読みにくかったです。具体的にいえばモンゴル人の名前を漢字表記するのはやめてほしかった。全員を漢字で書くならゆるすけど、ごく一部だけなのが違和感ありありです。
いちばん困ったのが、主役の鉄木真。テムジンとルビをふってあるんですけど、私の頭ったら「スズキマコト」と変換してしまうんですよ……。モンゴルの勇者「スズキマコト」って……。

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