『風濤』

風濤 (1967年)
井上 靖
B000JA75H2



読了。
元寇を、元に翻弄される高麗王国の視点でえがく、歴史小説。

家族の本棚から借りて読みました。
じつはいまBSでやってる『チャングムの誓い 完全版』をみているとこなので、その流れで選択。
元寇は日本にとっても歴史的な災難なわけですが、高麗にとっては地獄のような出来事だったのですねー。
高麗人の目には元のフビライがそこしれぬ不気味な人物のように見えます。高麗の人々はモンゴルのことをほとんどなにもしらず、知らないのでよけいに理解のできない、まさに災害のような巨大な支配者だと思っているのですよね。高麗の人々の純朴さ潔癖さではとてもたちうちできないなーと読んでいて感じます。もうすこし諜報活動でもなんでもすればいいのにと歯がゆいこともしばしば。

上からでもなく下からでもない、あくまで高麗の人々の位置に立ちながらすこし距離感のある視点で淡々とつづられていくのが印象的な小説でした。
読み手は傍観者というか目撃者というか、なんか手出しのできない異国の歴史を眺めている感じなのですね。じっさいまさにそのとおりなんだけど。
歴史資料の引用かと思われる漢文(の読み下し文)がよりいっそうその距離感を際だたせているような気がします。この読み下し文がたいそう読みにくかったのですが、それはもちろん自分のせいなのですが、高校生の時以来かな漢文の読み下し文を読んだのって。独特の言い回しの意味を忘れていて意味がわからず、途中から投げてしまいました。すみません(汗。

でも、これまで読んだ井上靖作品の中では一番好きです。おもしろかった。
この距離感、歴史文学ではなくSFなどではありそうな気がします。だからかな。

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