『妖精メリュジーヌ伝説』

妖精メリュジーヌ伝説
クードレット 森本 英夫 伝田 久仁子
4390115847

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本棚の整理をしていたら発見。これも社会思想社の現代教養文庫です。買った時のことは覚えているのに既読なのか未読なのか不明で、ならばと読んでみたらめでたく未読であることが判明しました。ははは。

15世紀のひとクードレットがパルトゥネ領主ギヨーム・ラルシュベックに命じられて書き上げた『メリュジーヌ物語、あるいはリュジニャン一族の物語』が原本。妖精との婚姻譚と、その婚姻によって生まれた一族の興亡を書いた物語です。

韻文を散文に直したためか繰り返しが多くて、かなり読みにくい文章でしたが、慣れるとなぜか快感に(笑。これが歌だったらどんな歌詞になるかしらんと想像しながら読むのが楽しかった。

内容は、妖精の話と一族の話があんまりうまく溶け合っていないというか、妖精物としては中途半端だなあと感じてしまったわけですが。むしろ、これが現実のわけないだろうというような荒唐無稽なところに史実が隠されているらしいのが不思議というか。妖精譚のはずが十字軍の話まででてきて、あのオーランド・ブルームの出ていた映画……えーとタイトルなんだっけ……のことを思い出させるようなエピソードまであったりして、いろいろと興味の尽きない話でした。

面白かったのですが、わたしとしては、メリュジーヌの生んだ息子達のほとんどが奇怪な外貌をしているのにそのことをだれも気にかけなかったり、メリュジーヌが去り際に命じたからと言ってなにもうたがわずに息子のひとりを殺してしまったり、なにか深い意味があるのではとおもうところがことごとく「とーぜんです」な雰囲気で流れてしまうのがずいぶんとひっかかりました。すべて神の御心のままに信仰の道に生きていけばゆるされるのです、みたいな書き方も、中世の作品だから仕方ないかなとは思うものの、ちと物足りないです。アヴァロンのモーゲンの姉妹が母親だというメリュジーヌはヨーロッパでは有名な妖精らしい。探せばほかにも何か見つかるかなあ。

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