『第九軍団のワシ』

第九軍団のワシ
ローズマリ・サトクリフ 猪熊 葉子
4001145790

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再読。
以前図書館でハードカバーを借りて読んだものですが、少年文庫にて刊行されたのでいそいそと購入しました。やっぱり素晴らしいです、サトクリフ。その場所にいて一緒に体感しているような情景描写、核心を言葉にすることなくじわじわとあぶり出してゆく間接話法、厳しい現実にやけになることもなく困難を道連れのようにして前へと進む登場人物たち。物静かな語り口に熱いものがにじみだしてくる、気品あるたたずまい。これで児童書なんて、贅沢すぎます。じっくり読もうと思っていたのに、半ばを過ぎたらまたどんどんと読み進んでしまいましたよ、あー、もったいね。
ローマ支配下のブリテンの勢力争いと文化摩擦を背景に、マーカスとエスカふたりの若者の友情を描いた物語と以前は読みましたが、今回はマーカスの叔父さんの存在感がゆったりとふところ深くしみてきました。歴史はこうして無名の存在によって編まれていくのだなあ……。

あしべゆうほの『クリスタル☆ドラゴン』や、ブラッドリーの「聖なる森の家」シリーズがおなじような時代を描いてますけど、作家によって雰囲気はまるで違いますね。あたりまえのことですが。私は『クリドラ』にけっこう影響を受けてるんだけど、すきなのはやっぱりサトクリフだなーとあらためて思いました。

これからローマン・ブリテン四部作の残り三作(『銀の枝』『ともしびをかかげて』『辺境のオオカミ』)もすべて少年文庫に入るということなので、続刊も楽しみに待ちたいと思います。

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