スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

『イスラム世界の人びと 2 農民』

イスラム世界の人びと (2)
佐藤 次高 冨岡 倍雄
4492812628

[Amazon]

読了。今回は一週間くらいかかりました。

イスラム世界で農民というとなんかイメージがよくわかないわけですが、イスラム世界のすべてが乾燥地帯だったり沙漠だったりするわけではないので、まあ、いろいろとあるわけです。
おとりあつかいは、シリア、イラン、エジプト、トルコ、インドネシア、西アフリカ、モロッコ、となっています。

でも、やっぱりシリアの話とかの中心部の話が面白かったですね。むかーしからの灌漑農業の村の話。
乾いた土地に忽然とあらわれる緑の果樹園。
外側には窓がひとつもない家々は内側に向かってひらかれていて。
ひとびとがあつまって歓談していて。
というような、村の内部の雰囲気がわかって楽しかったです。

現在よりも過去のことに重心がかかっている話が多かったからかもしれませんが、これってまるで異世界ものを読んでいるような気分。
多分私が異世界ものに求めているひとつの要素がこういうことなのかと思います。

読んでいて増えるなるほど知識は、遊牧民は乳製品が食べられるから体格がよく、武装しているから雇われて村の警備をしたりすることもあるんだとか。独立独歩でプライド高そうでもかれらも農村や都市がなければ生きてはいけない。必需品を自給自足できるわけではないからですね。それにいまでは近代化で遊牧民から脱落したひとびとが流しの特殊技術であちこちを渡り歩いていたりとかするらしい。といってもこれも二十年前の記述だからいまどうなっているのかは不明なのですが。

印象深かったのはイスラム社会の流動性。乾燥地帯での農業はそれこそひとびとの生きているそのままのすがたなわけだから、農民には農民という自覚はあんまりないとか。なのに何百年もひとつの土地に居着いている農民、というのはあまりいないのだとか。

というのもイスラムではメッカに巡礼に出かけるので農民も外に出かける機会がけっこうあったらしいのですよね。
あと、ウラマーはほとんど外からやってくるようだし、コーランの内容を砕いてひろめる物語師とかもくるようだし、農民はかなり世界のことについて詳しかったようだ、と書いてありました。

それと農業にしてからがなんとなく商業的なんですよね、それが小規模であるがゆえになんでも取引の材料になるらしく。かなり昔から農民が硬貨をもって取引していたんだそうです。へえーー。

うーん、かなり興味深い内容でした。書き手の人によって読みやすいのとそうでないのとの違いはありますけど総じておもしろかったです。

あと、最後の座談会がたいそう面白かった。
参加者はさまざまな地域を専門としてフィールドワークをしている研究者ばかりなわけですが、かれらがいろんな題材をあげて比べてみるだけで、なにがその地域独特の慣習なのか、イスラーム世界の共通点なのかが見えてくるんですよ。農業は自然環境に依存しているので、わりと土着の慣習や信仰がイスラムの物と混じって残っていることが多いのだなーということがよくわかりました。

Comment

Comment Form

管理者にだけ表示を許可する

Trackback


この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。