『輝くもの天より墜ち』

輝くもの天より墜ち (ハヤカワ文庫 SF テ 3-6)
ジェイムズ・ティプトリー・ジュニア 浅倉 久志
4150116237

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読了。

遠未来宇宙SF長編ミステリ風。

ティプトリーが書いた長編は二作しかないそうですが、そのうちの一作。
短編集とは雰囲気が異なり、かなり明るくわかりやすく読みやすい作風になっております。
ティプトリーの他作と比べると『たったひとつの冴えたやりかた』に近い感じでしょうか。

スーパーノヴァのもたらす光の饗宴を見物に田舎惑星にやってきた観光客にイレギュラーがいて、そのために3人しかいない地元スタッフと他の客たちがたいへんな事件にまきこまれる、しかも助けを呼ぶ手段がないという、まるで嵐の孤島のような設定で展開されるサスペンス。

表面的にはまるで無邪気な娯楽作品のようなお話ですが、そこはティプトリー、SF設定をふんだんにもちい、さらに悲劇的な歴史を絡ませて人質事件あり、復讐あり、暴力沙汰もありとハラハラドキドキうるうるさせてくれます。
異星人の設定は独創的だし、各キャラクターは個性的。それぞれにみあった活躍をしてくれて、まったく飽きさせません。そして最後はお約束通り。ある意味では勧善懲悪の話とも言えるかもしれません。

しかし、最後になだれこんだところがなんとも言いがたい場所で。
ネタバレ必至なのでくわしいことはかけませんが、これで大団円なのかもしれないけど、これでも大団円なのか、しかしこんな境地でそのときを迎えられればそれはそれでしあわせなのかもしれないと、ぼんやり呆然としてしまったのでした。
このあたりの葛藤をこえていく部分をあっさりと描いたところが、ティプトリーの達した境地なのかもしれませんねえ……。

光の描写が印象的な話でした。
しかし、うつくしいスーパーノヴァは、もしかしたら生命に満ちていたかもしれない星の死後の姿なのだなーとおもうと複雑です、な話でした。

たったひとつの冴えたやりかた (ハヤカワ文庫SF)
ジェイムズ,ジュニア ティプトリー 浅倉 久志 ジェイムズ・ティプトリー・ジュニア
4150107394

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