『イスラム世界の人びと 3 牧畜民』

イスラム世界の人びと (3)
永田 雄三 松原 正毅
4492812636

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読了。

イスラム世界といったらやっぱりイメージとしては遊牧民……と思うけれど、イメージと現実は違います、という本でした。
でもまあ、このあたりの本は私も結構読んでいるので(二十年前にだが)それほど驚くようなことはなかったですね。むしろ今の状況を知りたいような……。

タイトルが牧畜民なのは、遊牧は牧畜の一形態である、という考えからきているらしいです。そりゃそうだな。

そして遊牧というのは家を持ち運びして家畜とともに移動するものと定義されています。
おおよそ夏と冬とにそれぞれ放牧の基点があるのですが、どちらかに固定した家がある、たいていは冬営地のほうに畑なんかもあって家族はそっち住まい、というのは牧畜に入っている模様。

興味深かったのは「ヒツジにとっての牧夫とはなにか」(谷泰)の蓄獣の群れをイスラム世界各地の牧夫はどう管理しているのか、というとっても具体的な報告。

それと、例によって座談会。
蓄獣のランク付けとか(馬→ラクダ→ヒツジ(ヤギ)、らしい)、どの程度の規模で生活できるのかとか、遊牧民の誇りはどこからくるのかとか、牧畜民に貧富の差があまり無いのは何故かとか、いやー、これはネタの宝庫って感じでうはうはでした。

そして最終的に印象に残ったのは、耕作できない土地で生きてゆくための方法として牧畜というのは非常に優秀な手段なんだなあ、でもそれがいまでは歴史的にはという留保をつけとかなくちゃいけない状態になっているのが哀しいなーということです。

資本主義って環境に悪いんだなとしみじみと感じました。
生きていくためじゃなくて売るためになんでも必要以上に作るから、あちこちゆがみが出てくるんだよなー。
それで遊牧民はどんどん減っている。朝青龍のご両親もマンション住まいだもんね……。ウランバートルの光景(特に電気街 ;)を見た時にはうわーと思ったけど、それは部外者の感傷というモノなのでしょう。

でも、いまから牧畜民しろといわれたら軟弱な私には絶対できませんし。
とても大変な仕事だなとほんとに感じましたよ。

面白かったです。

参考までに私が以前読んだ関連本はこのあたりです。
遊牧の世界 トルコ系遊牧民ユルックの民族誌から (平凡社ライブラリー)
松原 正毅
4582765203

私は中公新書の上下巻を読んだのだがなんかいろいろと版が出ている……名著なのね。

ラクダの文化誌 アラブ家畜文化考
堀内 勝
484570210X

こちらは絶版。マイナー過ぎか……。

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