『イスラム世界の人びと 4 海上民』

イスラム世界の人びと (4)
家島 彦一 渡辺 金一
4492812644

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ようやく読了。

このシリーズの中でいちばん内容が想像ができなかったのがこの巻でした。
そもそも「海上民」という言葉から私の頭がイメージできるものが貧困なんですよね。
でなんとなーく、守り人シリーズのラッシャローの人たちなんかを思い浮かべていたのですが、あたりまえですがそれだけではなかった。
全体を見渡してみると海上民というくくりのなかで、海上生活者と漁業生活者と航海者と商人のことがばらばらに語られていたような。

ラッシャローのような人びともいないではなくて、東南アジアの島々の海上民の話にかぎられていたような気がします。
陸上に土地を持たず、筏のような舟のような建築物の上で生活する人たちですね。

興味深かったのはインド洋貿易がものすごく昔から発達していた、ということ。
あの数年前のインド洋大津波の時に被害が大変に広範囲にわたっていたことに驚きましたが、ようするにそのあたりはインド洋を航海する人にとっては日常的につながりのある場所だったわけです。
地理的に言えば東アフリカからアラビア半島、イランにインドに東南アジア。

海上民の研究はまだそれほど進んでいなくて、しかもとりとめなくあちこちのてんでばらばらな例が報告されているので、読んでいる最中はなんだか統一感のない巻だなーとおもいましたが、最後の座談会でいっきにすべてが繋がったような気がします。

そして座談会はトリビア知識の宝庫なんですよね。
中国はこの分野では後進で参加し始めたのは唐の頃からだそうで、そして地中海貿易というものはインド洋貿易がなければ成り立たないようなものだとか。
エーゲ海なんかは栄養が少ないので魚もあんまり捕れないのだとか。
地中海でガレー船が発達したのは波が少ないからだけど、積載量がすくないので香料貿易くらいにしか引き合わないのだとか。
ユダヤ人がもっていたのはネットワークと情報で、他民族の作ったインフラを利用して儲けてたとか。
ユダヤ人もムスリムも巡礼のあいだに商売をするのがごくごく普通のやりかたであるとか。
イスラム世界でも辺境の人びとのほうが巡礼熱が高いらしいとか。
へー、ほー、ふーんの連続です。

うーん、おもしろかったー。
今回はひとつの新たな世界を発見したような面白さでした。

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