『沼地のある森を抜けて』

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沼地のある森を抜けて
梨木 香歩
新潮社 2005-08-30

by G-Tools , 2007/10/27



読了。

急逝した叔母から家宝のぬか床を受け継いでしまった独身OLの困惑の記。
あるいは謎めいた家族の歴史と呪いのぬか床の正体を探る旅の記。
あるいは菌類から分化して別れていった別種の生物との膨大な年月の果ての数奇な出会いの記。

なんと書いていいかわからない、妙ちくりんな設定の話ですが、これって作家が変われば立派なホラーの題材になったのではないかと思います。
それがざっくばらんな台詞は珍しいけれど端正で落ち着いていて、乾いた情緒のある梨木さんの筆にかかると、日常的なほんわかした、すこし理屈っぽくてですこしウェットな話として読めました。

常軌を逸した状況に妙に現実的に対処してしまうヒロインが、なんとなくおかしい。
男性であることを拒絶し、しかし女性でありたいと思うわけでもなく、単に個人として存在したいと願いつつ、生物の本能としずかに戦い続ける風野さんとのコンビが楽しかったです。

個人的にこの本の内容はちくちくと心に刺さる部分が多かったけど、今の私にそんなふうに感情移入できる本はかなりめずらしいので、やはり貴重な作家さんだなーと思います。

面白かったですー。

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