『白い盾の少年騎士 下』

白い盾の少年騎士〈下〉 (岩波少年文庫)
トンケ ドラフト Tonke Dragt 西村 由美
4001145782

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読了。

ヨーロッバ中世風異世界を舞台にした少年たちの冒険と成長の物語。完結編。

面白かったー。
でも、読み終えてしばらく、走り出してしまったものを止めようとするためにはこんなにも大きな犠牲を払わねばならないのだなあと、しみじみとしてしまいました。

この話は今や一触即発となった戦争を前にして、その始まりを何とか止めようとする努力がえんえんとつづられていくのですが、前作から少し成長した主人公たちにもさらに現実的な厳しさに立ち向かわねばならない状況があたえられてます。

どちらかといえばストーリー的には直線的だった前作ですが、嘘や裏切りや怨恨やなにやらの負の人間関係がくわわって、謎の正体が明らかとなり、展開は複雑なものになっていきます。

ネタバレになってしまうから書けないけれど、前作と比べるとなんとも重々しい、せつない話になったものだなあと思いました。

まだ少年である主人公の視点から描かれた戦いの当事者たちのようすは、直接は関わることができないためかまるで伝説の勇者たちのもののように厳粛なものに感じられました。

このへん、ラノベだったら当事者視点が当然入ってきそうだけど、手のとどかない距離感が絶妙の効果をもたらしているなあと思った。
やっぱり、なにからなにまで書き尽くすことはないのだなー。
日常性を必要としないシーンには、読み手に推測させる余白もあったほうが断然かっこよいです。

ウナーヴェン王国の双子の王子の悲劇には、想像の翼が勝手に羽ばたいてしまいそうな気分です。

残念だったのは敵方の王と主人公のティウリのチェスのゲームの決着のつけられかたくらいかな。

リストリディン騎士とイサドーロ姫のエピソードや、ティウリとラヴィニア姫のエピソードなどは、騎士物語のツボみたいな断片で楽しかったです。
とくにリストリディン騎士の話は余韻があってすてきでした。
前作は騎士見習の話だったからこういう色気のある話はぜんぜんなかったのですよね。

それと、大昔の銅鑼のエピソード。
ファンタジー要素のほとんどない物語にあって、この伝説の招集の銅鑼の話が日常性からぬきんでて伝説的で、とっても印象的でした。

そしてなんといっても騎士と盾持ちの絆がいちばんすばらしかったです。
読んでよかったー、と思える物語でした。

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