『伝説の森 下 ヴァルデマールの風第三部』

伝説の森 下 (2) (創元推理文庫 F ラ 3-11 ヴァルデマールの風 第3部)
マーセデス・ラッキー 山口 緑
4488577113

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読了。

中世西洋風のヴァルデマール国を舞台に描かれる異世界ファンタジーシリーズのひとつ「ヴァルデマールの風」三部作の第三部。完結編。

他の本を読みながらぽつぽつと読んでいたところ、枕元に置いていた本を起きがけにばすんと踏んでしまって折りじわをつけてしまいました。ああ不幸な本。

第三部ではそもそもエルスペスが魔法の師匠を求めて旅立ったという当初の目的に戻り、隣国ハードーンの邪悪な国王アンカーの内幕と全面的な対決へと収束していくストーリーとなっています。

読んでいて「この話の売りは親しみやすさと勧善懲悪の安心感なんだなあ」と思いました。
アンカーの生い立ちはかれが極悪人になる理由としては十分だと思いますが、どうにもその描き方がユーモラスというかまぬけた感じなので、悪の魅力を感じるには貫禄不足。
それをいうならシリーズを通しての敵役〈隼殺し〉のモーンライズだってでてくるたびにどこかしら笑いを誘う御仁です。

これはやはり、どこまでいっても日常性がこの話のベースにあるからなのだろうな。
親しみやすさはたのしいけど、神秘的な雰囲気がもすこしあってもよいのではと時々思う。

ふくれあがった登場人物たちを網羅しつつ、じつにのんびりと日常的に決戦が始まったところはじつにこの話らしいなあと思いました。

途中「ご都合主義」という言葉が台詞に幾度かでてくるのですが、その言葉はこの話ぜんたいをうすく覆っているような気がします。

突っ込み屋の私としてはここまでくると、

こんなにすべてがうまくいっていいんか!

と叫びたくなるのですが、精神衛生上のんびりゆったり幸せなお話を読みたい時にはちょうどいいような気もしたり……。

ということは、私の精神はだいぶ回復してきたといっていいのかも。
それにキャラクターをいちいち書いてあるのも結局はいろいろとたのしいんですよね。
今回は〈暗き風〉の絆の鳥ヴリーがでてくるたびに「かわいい!」を心の中で連発してました。

そういえば、〈暗き風〉は改名するのかとおもったのに最後までそのままでしたね。
つぎには変わっているのかしら。

なんにせよ、好きなシリーズですのでつぎのシリーズの刊行をお待ちしています。

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