『鎖衣カドルト』

鎖衣カドルト (WINGS COMICS)
吟 鳥子
4403618839

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異世界ファンタジーコミック。連作短編集。

倫理、道徳、罪悪、刑罰の法を“鎖”に例えて統括する鎖の国。
身に巻き付ける鎖でその信念を表現する神祇官“鎖衣”となった、己の存在の意義と孤独に苛まれる少年カドルトの別なる価値観とひととの出会いの物語。

カドルトの融通の利かない真摯な生き方に、非常に胸が苦しくなりましたが、読んでよかったと思えるマンガでした。

人間はおなじ地盤に立っていてもなかなか理解はしあえないものですが、この話はまったく違う価値観を持った、使う言葉すらすれ違うような異質なひとびとのあいだにさえ、思いやりやときには共感といったものが生まれうるのだ、もしくはその努力を放棄してはいけないのだ――というようなことを語っているような気がしました。

しかし異なる思考をする相手のそんざいを受け入れるのってほんとに大変なんだなあ、ということもきちんと描かれていて、そのあたりがたんなる夢物語ではない現実感をもたらしてくれているのだなとおもった。

そういう展開で苦悩するカドルトが痛々しいのですが、そのあたりがこの話の肝であるような気もするので、たぶんかれの魂が解放されたらこの話は終わりなのでしょう。

収録作品はつぎのとおりです。


鎖衣カドルト
12年前の、あの日
スイズル卿の恋
水の花



鎖衣はひらたくいえばキリスト教会の聖職者みたいな官吏なんですけど、そこに修行僧とか聖者みたいな要素が付け加わっているところがおもしろいです。

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