『フェアリースノーの夢』

フェアリースノーの夢 (文学の散歩道)
松本 祐子
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読了。
少女向け児童文学ファンタジー、「未散と魔法の花」シリーズの第三巻。
いつのまにかシリーズタイトルが付いていたんですね、知らなかった。

作家沙那子おばさんの元で魔女修行に励むことになった、中学生の女の子未散の成長物語。
修行は家族には内緒で長期休暇の時だけ、おばさんはひねくれていてけっこうきびしいけれど薄情なわけではなく得体の知れない美人。おばさんの小説に出てくるドラゴンDの本物が生きて動いていたりして、これがとってもかわいい。
そして、未散はおばさんの家の近所の男の子圭太くんとはかなり仲良くなっていて……

というようなところがこれまでの経緯。
今回は二十年に一度咲くフェアリースノーという花を巡るロマンチックなエピソードがメイン。謎めいたおばさんの過去、しかもロマンスがあきらかになり、さらには現在進行形の未散と圭太とのあいだにも大きな転機がやってくる、というお話。

児童文学なので生活感の薄さや家族不在の物語がなく、きちんと地に足をつけた上で未来を思い夢を垣間見るような、素敵な雰囲気のファンタジーです。
未散をはじめ弟の拓海、かなりミーハーなお母さんに頭の硬いおばあちゃん、ひょうひょうとしたお父さんまで、人物が等身大で愛情を持って描かれているところがいいなあと思います。
圭太くんはあんまりできた男の子なのでちょっとドリーム入ってるかなあとおもうけど。

それと圭太くんのお母さんの造形もちょっと誇張はあるけど、短い登場ながら彼女の背負ってきたいろいろがいろいろとおもわれて、同情したりもいたしました。
「風のハルカ」の真矢みき演じるおかあさんを思い出しちゃった(笑。

少女たちの視点で本人たちの物語を楽しむのが対象年齢読者のまっとうな読み方かなとおもいますが、ちょっと年取った沙那子おばさんの年代でもけっこう読み応えのある物語が用意されていて、この懐の深さが私がこのシリーズを飽きずに読んでいる要因かなあと思います。

それと、フェアリースノーの花が咲く幻想的なシーン。

不思議な世界に不思議な花が咲くのはふつうのことだけど、現実の世界に不思議な花が咲くことは奇跡で魔法なんだよなあと、うっとりいたしました。

既刊はこちらです。
リューンノールの庭 (文学の森)
松本 祐子 佐竹 美保
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ブルーローズの謎―未散と魔法の花〈2〉 (文学の森)
松本 祐子
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