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『関与と観察』

関与と観察
中井 久夫
4622071754

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読了。

精神科医であり、仏語詩の翻訳家でもある著者のエッセイ集。

この方の文章に私は昨年岩波の情報誌『図書』で出逢ったのですが、そのときはたしか日本語についてのこまかい洞察に深く感銘を受けて(「センテンスを終える難しさ」)、他の著作も読んでみたいーと思ったのでした。
その後私のほうにいろいろとあったので手に取るのにずいぶん時間がかかってしまったのですが、ようやく読めました。

そして、期待以上でした。
明晰でありながら穏やかでバランスのとれた文章を書かれるかたで、それは日本語に対する興味からきているものなのかなと思いますが、読んでいて非常に安心感のある言葉遣い、文章なので、どこにもひっかかりや力みや危うさを感じることなくするすると読める、ストレスのない安心できる読書でした。
書かれている内容がかなりのストレスをともなう事柄であることを思うと、これは凄いことなのではないかと思います。
つよく自分を主張することなく、客観的な事実を元に理性的に組み立てられた思考を静かに述べる、そんな言葉は抵抗感なく心の中に浸透するものなのだなーと感心しました。
専門用語を使用した項もそれなりに理解できる(ように感じる)のはそんな文章のおかげかと思います。

以下は目次。




精神医学および犯罪学から見た戦争と平和
日本社会における外傷性ストレス
 ――こころのケアセンター開所式講演


II

精神分裂病の名称変更
今にして戦争と平和
ポスト高齢化社会はどうなるのか
平成一四年を送る
イラク戦争開戦に思う
イラク戦争終了に思う
グローバリズムの果て
癌治療の場を垣間見る
中東で繰り返される日中戦争
日本の占領とイラクの占領
日露戦争を眺めなおす
二〇〇四年の歳末に思う
仕掛けられた憎悪の火種
日本人の〝人間の条件〟は
二〇〇五年九月一一日以後


III

現代社会に生きること
現代における生きがい


IV

日本の家族――その近代と前近代
生活空間と精神健康




土井健郎選集解説
霜山先生のお弟子さんたち
ロナルド・D・レイン『ひき裂かれた自己』
河音能平君の少年時代
村沢貞夫を送る 二〇〇四年一月七日


VI

須賀敦子さんの訳詩について
「その地」を訪れざるの記
石川九楊『日本書史』を読む

あとがき
初出一覧



そして、取りあげられている事柄について示された事実については、私は自分の不勉強を深く恥じ入るばかりでした。
たとえば、戦争はいけない、嫌い、といいつつ、その中身についてまったくの無知では反対の声もつよくなりません。
やはり日本人は戦争についてもっと事実を知るべきなのではないかと思いました。
それは個人的な体験だけでなく、客観的な情報を元にした原因や理由や経過でもあるべきだと。
とくに戦争神経症患者の実態などはもっと知られるべきと思いました。

後半、親友の死に際しての追悼の言葉には、豊穣な人生を歩んでおられたのだろう故人に対して、こんなことを書いてなんですが、ウラヤマシイという気持ちになりました。

さらに書評に関してはほとんどを読んだことがないので推測でしかものを言えませんが、『日本書史』はおもしろそうだなーと思いました。
それと、須賀敦子さんの訳詩には「読んだことあるはずなのに覚えてない~」と悔しい思いをしたので年が明けたら探してみようと思います。
もちろん、著者の他のエッセイも読みたいと思ってます。

樹をみつめて
中井 久夫
4622072440


須賀敦子全集 第1巻 (河出文庫)
須賀 敦子
4309420516

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