ごく個人的な2007年ベスト
2007年に読んだ中から個人的に面白かった&好きな本です。2007年に読んだというだけで、刊行されたのは違う年のものも多いです。というかほとんど違います。順番はたぶん読んだ順で他に意味はありません。
去年までのベストはこちらにあります。
ちなみに2007年に読んだ本は12月30日現在で全部で124冊でした。
須賀しのぶ「流血女神伝」シリーズ『喪の女王』の五巻〜八巻。
とうとう完結したジェットコースター展開の大河ファンタジー。
歴史の醍醐味をいろいろと凝縮し、さらに神とひととの関係を濃厚に描いた、極上の娯楽作品となりました。
数えてみたら一年に四冊もでていて、あらためて凄いなーと感じ入りました。
知らなかったというかたにも完結を機にぜひぜひ読んでいただきたい逸品です。








ロイス・マクマスター・ビジョルド『チャリオンの影』上下巻。
これは文句なしに面白かったです。主人公の自称ヘタレ中年が陰謀の渦中を若いお姫様のために頑張るお話。ファンタジーとしての楽しみもふんだんにあって、たいへんに充実した読後感でした。
続編『影の棲む城』がもうじき発売なので、とっても楽しみにしています。




フィリップ・リード『移動都市』。
文明が崩壊した後、他都市を喰らって生きのびる移動都市の世界をぶたいに描かれる遠未来SFファンタジー。
これも読んでいてわくわくしました。とっても映像的な作品で、まるで宮崎アニメを見ているかのようなディテールと疾走感。話はどこか滅びの影をまとっていて爽快感とはちと無縁なのでしたが、とにかく物語世界の独特なおもしろさと少年少女の冒険という骨格にひきつけられます。
続刊の『略奪都市の黄金』は手元にありますがまだ未読です。たのしみに愛でている最中です。




ローズマリ・サトクリフ『第九軍団のワシ』。
ローマンブリテン四部作がついに岩波少年文庫に登場です。
というわけで再読なのですが、あらためて読んでみてもいいなあこの話すごく好き、と思いました。
行方不明になった父親の軍団の軍団旗をもとめて親友と北の辺境へと旅立つ、少年の成長物語。けしてあかるくはないきびしい展開だけど、だからこそこころ気高い登場人物とあざやかな情景描写がうつくしいのです。


ローズマリ・サトクリフ『血と砂 愛と死のアラビア』上下巻。
これもサトクリフです。こちらはどうやら大人向けに書かれた晩年の作品らしい。
ナポレオンの時代にイングランドから派遣されたスコットランド連隊の若者が、現地で捕虜となり、遊牧民の戦士たちと心を通わせてゆく、実話に基づいた物語です。
現地に行ったのかと思うほど臨場感のある情景描写がすばらしい。
ところで、最近、この感想記事が検索されることが多くてどうしてなのかと思っていたら、なんと宝塚で舞台化されるらしいです。とすると、たぶんトマスとトルコの太守の息子とか、トマスと義弟のトゥスンとかが主役なんだろうなー。ナイリとアノウドとのダブルヒロインだし。考えてみると配役的にも宝塚にちょうどいいのかも。私は宝塚のファンでもなんでもないけど、ちと見てみたいような。




ラドヤード・キプリング『プークが丘の妖精パック』。
『ジャングル・ブック』のキプリングがイギリスの子どもたちのために書いた歴史小説。
この本は何とも愛らしくて純粋にいいなあと思える本でした。歴史は名前を残した偉大なひとだけでつくられているわけではないんだよと、それとなく伝えてくれるようなお話。サトクリフの愛読書だったそうで、彼女の作品にも雰囲気が似ています。サトクリフ好きにもぜひ。


壁井ユカコ『鳥籠荘の今日も眠たい住人たち』1〜3。
『キーリ』の作者さんの新シリーズ。現代物だからかあんまり評判になっていないみたいですが、わたしはこのちょっと奇天烈な住人達と時層と次元がずれているかのような鳥籠荘のありようにひどく愛着があります。ひねくれ者同士のものすっごい遠回りの恋愛ものでもあるんじゃないかと推測しているのですが、どうなるのかなあ……。
同著者の『エンドロールまで、あと』もけっこう好きな話でした。こちらも現代物です。評判がよかったのか、ルルル文庫で出たあとハードカバー化されてますね。








ジョージ・R・R・マーティン「氷と炎の歌」第三部『剣嵐の大地』全三巻。
「氷と炎の歌」第三部はなんと全三巻でした。いつもながらの壮大で重厚で非情で大勢の人間たちの人生がつまった豊穣な大河ファンタジーです。極悪非道なストーリー展開に翻弄されつつ、読み終えた時には身もこころもボロボロになって、「つづきはどうなるのだーーー!!!」と叫んでました。
ほんとにほんとに速く続きが読みたいです。



剣嵐の大地 3 (3) (氷と炎の歌 3)


梨木香歩『水辺にて on the water/off the water』。
作者さんの本は小説も読んだのですが、私はこのエッセイがたいへん印象に残りました。この、現実とひとつ向こうの世界をいったりきたりしているような感覚が、私が彼女の作品に親近感を覚える源なのかもしれない、と思います。
別の世界にたちすくんで、それでも物語を紡ごうとする根性、見習いたいです。(私は行っちゃうと先に進めなくなるんです;)


光原百合『銀の犬』。
この本は思いがけなくみつけた宝物という感じ。日本にはまだほかにもケルトファンタジーの書き手がいたのねー。と感動しました。
できればつづきも書いて欲しいけど、これだけで完結してくれてもいいような気もする。


中井久夫『関与と観察』。
このエッセイに関しては、私は語る言葉を持ちません。ただただ圧倒された。いままであまり接触したことのない世界の話だったこともありますが、著者の生きてきた歳月とその重みがまだ受けとめ切れていないのだとおもいます。
とにかく印象的には今年最強だった一冊。


そのほかには、谷瑞恵の『伯爵と妖精』シリーズ、青木祐子の「ヴィクトリアン・ローズ・テイラー」シリーズはコンスタントに新刊が出て、毎回楽しませていただきました。
あと多崎礼『〈本の姫〉は謳う 1』もおもしろかったです。





今年は去年の手術の影響をひきずってなかなか外に行けなかったので、積ん読ははけたけれどということは古いものばかり読んでいたということで、あんまり新しい本は読めませんでしたね。
最初に図書館に行った時に予約した上橋菜穂子の本は年内に到着しなかったし……。
それになんだか本よりマンガをたくさん買っていたような気がする。マンガのベストもやってみようかなー。しかしそれには時間がないので、年内の更新はこれにて。
皆様よいお年をお迎え下さい。
去年までのベストはこちらにあります。
ちなみに2007年に読んだ本は12月30日現在で全部で124冊でした。
須賀しのぶ「流血女神伝」シリーズ『喪の女王』の五巻〜八巻。
とうとう完結したジェットコースター展開の大河ファンタジー。
歴史の醍醐味をいろいろと凝縮し、さらに神とひととの関係を濃厚に描いた、極上の娯楽作品となりました。
数えてみたら一年に四冊もでていて、あらためて凄いなーと感じ入りました。
知らなかったというかたにも完結を機にぜひぜひ読んでいただきたい逸品です。




ロイス・マクマスター・ビジョルド『チャリオンの影』上下巻。
これは文句なしに面白かったです。主人公の自称ヘタレ中年が陰謀の渦中を若いお姫様のために頑張るお話。ファンタジーとしての楽しみもふんだんにあって、たいへんに充実した読後感でした。
続編『影の棲む城』がもうじき発売なので、とっても楽しみにしています。


フィリップ・リード『移動都市』。
文明が崩壊した後、他都市を喰らって生きのびる移動都市の世界をぶたいに描かれる遠未来SFファンタジー。
これも読んでいてわくわくしました。とっても映像的な作品で、まるで宮崎アニメを見ているかのようなディテールと疾走感。話はどこか滅びの影をまとっていて爽快感とはちと無縁なのでしたが、とにかく物語世界の独特なおもしろさと少年少女の冒険という骨格にひきつけられます。
続刊の『略奪都市の黄金』は手元にありますがまだ未読です。たのしみに愛でている最中です。


ローズマリ・サトクリフ『第九軍団のワシ』。
ローマンブリテン四部作がついに岩波少年文庫に登場です。
というわけで再読なのですが、あらためて読んでみてもいいなあこの話すごく好き、と思いました。
行方不明になった父親の軍団の軍団旗をもとめて親友と北の辺境へと旅立つ、少年の成長物語。けしてあかるくはないきびしい展開だけど、だからこそこころ気高い登場人物とあざやかな情景描写がうつくしいのです。

ローズマリ・サトクリフ『血と砂 愛と死のアラビア』上下巻。
これもサトクリフです。こちらはどうやら大人向けに書かれた晩年の作品らしい。
ナポレオンの時代にイングランドから派遣されたスコットランド連隊の若者が、現地で捕虜となり、遊牧民の戦士たちと心を通わせてゆく、実話に基づいた物語です。
現地に行ったのかと思うほど臨場感のある情景描写がすばらしい。
ところで、最近、この感想記事が検索されることが多くてどうしてなのかと思っていたら、なんと宝塚で舞台化されるらしいです。とすると、たぶんトマスとトルコの太守の息子とか、トマスと義弟のトゥスンとかが主役なんだろうなー。ナイリとアノウドとのダブルヒロインだし。考えてみると配役的にも宝塚にちょうどいいのかも。私は宝塚のファンでもなんでもないけど、ちと見てみたいような。


ラドヤード・キプリング『プークが丘の妖精パック』。
『ジャングル・ブック』のキプリングがイギリスの子どもたちのために書いた歴史小説。
この本は何とも愛らしくて純粋にいいなあと思える本でした。歴史は名前を残した偉大なひとだけでつくられているわけではないんだよと、それとなく伝えてくれるようなお話。サトクリフの愛読書だったそうで、彼女の作品にも雰囲気が似ています。サトクリフ好きにもぜひ。

壁井ユカコ『鳥籠荘の今日も眠たい住人たち』1〜3。
『キーリ』の作者さんの新シリーズ。現代物だからかあんまり評判になっていないみたいですが、わたしはこのちょっと奇天烈な住人達と時層と次元がずれているかのような鳥籠荘のありようにひどく愛着があります。ひねくれ者同士のものすっごい遠回りの恋愛ものでもあるんじゃないかと推測しているのですが、どうなるのかなあ……。
同著者の『エンドロールまで、あと』もけっこう好きな話でした。こちらも現代物です。評判がよかったのか、ルルル文庫で出たあとハードカバー化されてますね。




ジョージ・R・R・マーティン「氷と炎の歌」第三部『剣嵐の大地』全三巻。
「氷と炎の歌」第三部はなんと全三巻でした。いつもながらの壮大で重厚で非情で大勢の人間たちの人生がつまった豊穣な大河ファンタジーです。極悪非道なストーリー展開に翻弄されつつ、読み終えた時には身もこころもボロボロになって、「つづきはどうなるのだーーー!!!」と叫んでました。
ほんとにほんとに速く続きが読みたいです。



梨木香歩『水辺にて on the water/off the water』。
作者さんの本は小説も読んだのですが、私はこのエッセイがたいへん印象に残りました。この、現実とひとつ向こうの世界をいったりきたりしているような感覚が、私が彼女の作品に親近感を覚える源なのかもしれない、と思います。
別の世界にたちすくんで、それでも物語を紡ごうとする根性、見習いたいです。(私は行っちゃうと先に進めなくなるんです;)

光原百合『銀の犬』。
この本は思いがけなくみつけた宝物という感じ。日本にはまだほかにもケルトファンタジーの書き手がいたのねー。と感動しました。
できればつづきも書いて欲しいけど、これだけで完結してくれてもいいような気もする。

中井久夫『関与と観察』。
このエッセイに関しては、私は語る言葉を持ちません。ただただ圧倒された。いままであまり接触したことのない世界の話だったこともありますが、著者の生きてきた歳月とその重みがまだ受けとめ切れていないのだとおもいます。
とにかく印象的には今年最強だった一冊。

そのほかには、谷瑞恵の『伯爵と妖精』シリーズ、青木祐子の「ヴィクトリアン・ローズ・テイラー」シリーズはコンスタントに新刊が出て、毎回楽しませていただきました。
あと多崎礼『〈本の姫〉は謳う 1』もおもしろかったです。



今年は去年の手術の影響をひきずってなかなか外に行けなかったので、積ん読ははけたけれどということは古いものばかり読んでいたということで、あんまり新しい本は読めませんでしたね。
最初に図書館に行った時に予約した上橋菜穂子の本は年内に到着しなかったし……。
それになんだか本よりマンガをたくさん買っていたような気がする。マンガのベストもやってみようかなー。しかしそれには時間がないので、年内の更新はこれにて。
皆様よいお年をお迎え下さい。
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