『あたまの漂流』

あたまの漂流
中野 美代子
4000220187

[Amazon]

読了。

『西遊記』の翻訳などでしられる著者のエッセイ集。
私にとっては『眠る石』や『カスティリオーネの庭』の作者さん。
朝日新聞社PR誌『一冊の本』に掲載されたものに加筆したものらしいです。

収録タイトルは以下の通り。


藤九郎の島
置き去り(マルーン)
パリの異邦人
島のいろいろ
ヤクザーンの子ハイイ
「絶海の孤島」のアーティストたち
「国宝」の条件
月から見える長城
ヤーコポ・ダンコーナの旅
タタール人の砂漠
キャプテン・クックからラ・ペルーズまで
ラ・ペルーズの最期から
玄奘の見たアフガニスタン
インド洋の不思議な島
テレメンテイコの島
タージ・マハールのドーム
カシミール美人および……
黄砂が降るとき
インド帝国のイギリス人たち
チベット楽園幻想
タリムのミイラ
偽書(フェイク)への夢想

あとがき
参考文献書誌



読んでいて、博覧強記というのはこういうことをいうのかしらんと、ただひたすらその知識の豊富さ、範囲の広さ、地理的・時間的な広がりに感心しておりました。

タイトル通り、記されている事柄は連想のままにあちらこちらにさまよっていきますが、それにすべて学術的な裏付けがあったり、自身の体験を踏まえたものであったり、それをまたよくもまあというほど細々と覚えてらっしゃる。参考文献には高野文子の『絶対安全剃刀』まで出てくるんですよ。すげー。

この百科事典のような頭脳をおもちのかたの興味が、私のささやかな間接体験とときおりまじわったり、それを補って下さったり、さらには別の方向への興味をかき立てて下さったりと、なかなか興味深い読書体験をさせてもらったなーというのが読後の感想です。

読んでいて思い出したのは、当然ながら「カスティリオーネの庭」のほか、中井久夫「関与と観察」、映画の「パイレーツ・オブ・カリビアン」、ロフティング「ドリトル先生月へ行く」、マーフィー&コクラン「グランドマスター」、毛利志生子「風の王国」、井上靖「敦煌」「楼蘭」、NHKの「新シルクロード」、文中にも書いてあるけれどフォースター「インドへの道」、さらにはいま読み途中の池上永一『シャングリ・ラ』などなど、でした。

あんまりいろいろとあらたな知識が入ってきたのでしばらくはこの波に翻弄されそうです。
参考文献に書かれてあったいろんな本が読みたくてたまらない……。根性がないのでたぶん一、二冊で終わるんだと思うけど(汗。

西遊記〈1〉 (岩波文庫)
中野 美代子
4003202015


カスティリオーネの庭
中野 美代子
4163171703

Comment

Comment Form

管理者にだけ表示を許可する

Trackback


この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)