『シャングリ・ラ』

シャングリ・ラ
池上 永一
404873640X

[Amazon]


読了。

近未来SFほら話ファンタジー大長編。

『風車祭(カジマヤー)』を先日知人に貸して存在を思い出し、図書館から借りてきました。
今回は沖縄ではなく、首都東京の物語。


温暖化がどんどん進んで経済が炭素を基準に回るようになった近未来。
日本は空中炭素固定装置なる大発明により炭素を新素材として活用する方法を得、第二次関東大震災によって荒廃した東京を遺伝子改造を施した植物による強引な緑化を推し進めることで炭素経済の先頭を走るようになった。
緑のジャングルと化した東京の首都機能はアトラスと呼ばれる炭素素材で建造される巨大な塔に集約されたが、塔に居住を認められなかった下層階級のものたちは打倒政府、打倒炭素経済を叫んでレジスタンス組織メタルエイジを結成する。
それから五十年。
総帥凪子によって時代のメタルエイジを背負うものとして育てられた少女、國子が女子少年院より帰還するところから物語は始まる。



というような感じのストーリーです。
ギリシア神話や日本神話がサブカルチャーとごった煮されたような設定で、骨格だけを見れば壮大なSFファンタジーなんだけれども、読んでいる時に受ける雰囲気はあれです、少年向けの過激なギャグマンガ。

個性的というだけではおとなしすぎる、めちゃくちゃ破滅的にとんがったキャラクターがはじけてはじけて爆発しまくる、というシーンがつづきまくるのです。
ノリは最高によくて読んでいてくすくす笑いが絶えないのですが、かなりお下品でもあります(苦笑。

この雰囲気、なにかに似ている……と考えていたのですが、木曜日の夕方六時過ぎに気が付きました。
アニメの『銀魂』だ!(つまり見ていた)

しかし、『銀魂』は男性陣がはじけてますが、こちらは女性陣のパワーがすごいです。
だいたいこの作者さんは男性陣はわりと地味なのに女性はとんでもなく強い話を書くのがお上手なんですけどね。
今回も、トリプルヒロインの國子や美邦、香凛もすごい女の子たちですが、その脇を固める貧乏のクラリス、マッドなサディスト小夜子、超人涼子はさらにすごい。迫力です。

そして無敵のニューハーフ・モモコさんの迫力とかわいらしさたくましさといったら!!

モモコさんの必殺技にはなんども失神させられそうでした。
最終兵器の出現には阿鼻叫喚でしたよ、あうあう。

というわけで、サブプライムローンのことがわからないワタクシ的には炭素経済の仕組みもあまり理解できたとは言えないのだけど、読んでいてとっても楽しかったです。
ぜんぶが終末と再生の祝祭的なお話だとおもいました。

そういえば、読み始めた時には古川日出男の『サウンドトラック』にちと世界が似ているのかなーと感じたのだけど、文章の質感がぜんぜんちがいました。どちらも好きだけど、古川日出男のほうが生々しくてブンガクっぽいかなと思う。

個人的にはもっとオバァみたいなキャラに出てきて欲しかったかな。
掲載紙が『ニュータイプ』だったようなので、老人よりも若者を中心にしたのかも。
というか、『ニュータイプ』に小説連載があるということをここで初めて知りました。
あ、でもそういえば竹下文子さんが『ニュータイプ』に書いているとかいうことをどこかで読んだような……。

風車祭(カジマヤー) (文春文庫)
池上 永一
4167615029


サウンドトラック〈上〉 (集英社文庫)
古川 日出男
4087460770


サウンドトラック〈下〉 (集英社文庫)
古川 日出男
4087460789

Comment

Comment Form

管理者にだけ表示を許可する

Trackback


この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)