『火の国、風の国物語 戦竜在野』

火の国、風の国物語―戦竜在野 (富士見ファンタジア文庫 182-1)
師走 トオル
4829119721

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読了。

中世西洋風異世界ファンタジー。
えーと、どっかの書評に載ってたのに興味を持って買ってみました。
富士見ミステリー文庫で「タクティカル・ジャジメント」シリーズを出している作家さんの初ファンタジーだそうです。

物語世界の地図がどこかで見たようなとか、固有名詞の言語系統がごちゃごちゃとかいうのは、もうありがちなのでなにも言いませんが……。
私にとって真性ファンタジーとは魔法の気配のするものをいうのですが、これにはまったくそれを感じませんでした。
といっても、ファンタジー設定が皆無というわけではないんです。そしてその設定はあるだけではなくてきちんと話にかかわってくるんです。が、なんだか非常に雰囲気がドライでクリアな感じがするんですね。法廷ものを書かれていたそうなので、そういう資質をお持ちの作家さんなんだろうな。魔法の気配というのは神秘的というか幻想的というか、どちらにしろ曖昧なものだと思うので、そのあたりが私にファンタジーを感じさせないのかなあと思うわけですが。

でも、こんなこだわりを持つわりに私にとってはファンタジーか否かは面白さのバロメーターではないので、この話は面白かった、といえると思います。
たぶん、そのドライでクリアなあたりが新鮮で面白いのね。

と、話の周囲をぐるぐる回るような感想で申し訳ありません。
なんと説明したらよいのかよくわかっていない現状でできる範囲で努力してみますと。

死の淵で力を願ったヒーローは超自然的な存在にその力を与えられる。
その代償に、他人には見えない助言者を受け入れること。
助言者はつねにヒーローを戦いの方向へと導こうとしているようだ。
その証拠は、嘘は言わないが選択に必要なすべての情報を開示するわけではないからだ。

というわけで、ヒーローは意図的に小出しにされた情報と助言者のバイアスのかかった言葉を頼りにみずからの行動を選択していくことになる。
その結果、どのような出来事が招かれようと……。

という感じのお話です。

キャラクターはラノベらしいの一言。
ヒーローは絶大な戦闘力と名声を有するものの、誇りが高すぎて挑発に弱い、単細胞の元伯爵で近衛騎士アレス・ファノヴァール。
ヒロインはヒーローに想いを寄せつつ未成熟な身体を気にする王国のツンデレ王女、クラウディア。
性格の悪いアレスの助言者、精霊パンドラ。
アレスの従者でドワーフのガルムス。
アレスの義妹で従軍神官となるエレナ。
というあたり。

きわだった個性があるわけではない、お約束のかるい台詞の応酬で進んでいくストーリーですが、助言者とヒーローのドライな関係が面白いと思いました。

クラウディアの命令で国中を悪者討伐に駆けまわってきたアレスが、隣国の勢力と手を結んだ国内の反乱軍との戦いに身を投じることになる、という筋立てでストーリーの開幕です。

読んでる途中で本屋に行ったら新刊が出ていたのでつい購入してしまいました。
あんまり長々とつづかなければいいなあ……。
でも打ち切りになるのは哀しいので、きちんと話が完結する程度に人気が出てくれればと思います。
私的には五巻ぐらいが理想なのですが、昨今の平均からすると短すぎるのか?

雑誌の連載ではアレスの敵方、反乱軍の首魁を主役としたストーリーが展開されている模様です。

火の国、風の国物語 (2) (富士見ファンタジア文庫 (182-2))
師走 トオル
4829132531

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