『パイレーティカ 女海賊アートの冒険 上』

パイレーティカ女海賊アートの冒険 上巻 (1) (小学館ルルル文庫 り 1-1)
タニス・リー 築地 誠子
4094520074

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読了。

19世紀初頭ヨーロッパのパラレルワールドを舞台に、パイレーティカと呼ばれた母を持つ少女がみずからを解き放ち海へととびだす、虚実ないまぜの冒険ファンタジー。開幕編。

パラレル歴1712年(西暦1802年)、イギリス共和国。良家の子女の通う全寮制の女学校で歩行訓練を受けていた時、アートは突然失われていた記憶を取り戻した。アートの母親はパイレーティカと呼ばれていた女海賊であり、幼い頃は自分も母親とともに船での冒険を日常としていたのだ。母親の死後、ひきとられた父親に押しつけられた生活に我慢ならなくなったアートは、クリスマスの当日女学校を抜け出した。めざすは昔の仲間たちのいる港、リンドンだ。ところが仲間たちとの出会いはアートにとって驚くべき事実を明らかにする。



『オーバーンの城の夏』が思いもかけず楽しかったので借りてみたルルル文庫です。
タニス・リーは昔かなり読んだ作家ですが、最近はご無沙汰中。かなりのブランクがあって『鏡の森』を読みましたがそれからまたけっこう時間が経ったなーという印象です。
果たしてあの絢爛豪華で残酷でエロスの香り漂うリーの世界がルルル文庫に馴染むのか、という不安は、別の方向で裏切られた気がします。
手加減されている。というか、違う系統のリーなのかも。

たぶんこの作品はジュブナイルとして書かれたのだろうなと思う。
『闇の公子』や『死の王』ではなく『冬物語』でもなく、『白馬の王子』の系統の話かなあという気がします。断言できないのは『白馬の王子』の内容がかなりうろ覚えだからです。たしか、期待にたいして肩すかしを食らわしながら、さいごにはあらけっこうまともなところに落ち着いたわ、というような話だったと……おぼろげな記憶ですが。

雰囲気は豪奢というより軽妙で、色鮮やかな描写はいつも通りですが、テーマやらなにやらも軽妙さに中に隠されている。ようするにユーモア作品なんですね。

奇想天外すぎる展開と、少女小説というにはすこしキャラクターに距離感があるのとで共感するのが難しいので、話の中に入り込むのがちと難しかったです。
読み進めるうちにだんだん面白くなってきましたが。

果たしてアートの記憶は真実なのか、事実誤認なのか。
そのあたりに興味津々です。

それといま夢中なのは、アートのためにさんざん災難に遭わされつつも行動を共にするハンサムな絵描きフェリクス・フェニックス。いったいかれは、人殺しは嫌いだ、アートは趣味じゃないといいつつ、何故船から下りないのでしょうねえ。

下巻はスタンバイ中です。

パイレーティカ女海賊アートの冒険 下巻
タニス・リー 築地 誠子
409452018X


絶版の『白馬の王子』。
白馬の王子
タニス・リー 井辻 朱美
4150200483

装画が中山星香。このころの絵柄がいちばん好き。

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