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『獣の奏者 II 王獣編』

獣の奏者 II 王獣編
上橋 菜穂子
4062137011

[Amazon]

読了。

異世界ファンタジー、完結編。
孤独な少女と神聖な王権を支える獣との交流が、政治的な駆け引きに巻き込まれていく物語。

上巻を読んでいた時にはまさかこんなところまで話がひろがるとは思ってませんでしたが、それでもきっちりとまとめられてた。
非常に禁欲的でそぎ落とされた展開でしたが、物語世界の空気やひとびとの情感はひしひしとつたわってくる。
たいそう上質な物語を読ませてもらったなーと嬉しかったです。

以下、ちょっとネタバレ。


ヒロインのエリンには好悪がかなり分かれるようですが、私はそんなに嫌いじゃないです。
十歳の時に唯一の味方である母親とあんな別れ方をしたら、そして母親に対する信頼まで揺るがされてしまったら、人間という生き物に対しておおきく線を引いてしまうのも仕方ないんじゃないでしょうか。人間を信頼できないために動物へ、そして王獣へと気持ちをあずける対象を求めざるを得なかったんじゃないかなあ。
獣は人間とは違うとあたまではわかっていても。

母親が闘蛇にむけていたまなざしの記憶も大きかったのでしょう。エリンが聡明でその知識欲が並はずれていたために、王獣との交流を半ば成し遂げてしまったことが悲劇の始まりだったのだなと思います。

エリンが愛情に恵まれた環境で育ったなら、たぶん人間社会に対する期待も信頼もちゃんともてたと思うのですよね。
そうではないから、母親への疑惑やその母親を育てた親族たちにも、つっぱって拒絶することしかできなかったのだと思う。
あたまではかれらの行動の理由を理解していても、孤独を理解してくれないものたちへのわだかまりはきえなかったのでしょう。

それでも、最後にリランを飛翔させたエリンは、結局自分は人間であると絶望に似た認識に至ったのだと思います。王獣と人間との板挟みになって、けっきょく人間を選んでしまったエリンはもうここで自分は王獣からみはなされたと思っていたはず。

その後の展開はあたかも神話のようですが、良し悪しはべつとして、というかいまだに私には消化し切れていないんですが、希望のあるうつくしいラストシーンではあったなと思います。

読み終えたあとにいろいろと考えたりしたので、しばらく話の世界が身体にまとわりついているようでした。

余談。
どの登場人物を主役にしても話が成立するような濃密な物語だったので、勝手にいろいろと考えてみたのですが。
少女小説なら真王の孫娘セィミヤでいけそうだし、少年向けなら大公の長男シュナンで読んでみたいし、大人向けならエリンを監視する霧の民のひととか、もしくは王獣保護場のエサル師なんかどうでしょう。

個人的には真王の護衛士のイアルくんがたいそう好みなのですが……すごく暗い話になりそうだ(笑。

獣の奏者 I 闘蛇編
上橋 菜穂子
4062137003

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