『夢の書 上』

夢の書 上 (1)
O.R.メリング 井辻 朱美
4062138344

[Amazon]

読了。

現代のアイルランドとカナダ、そこにかさなりあう妖精国を舞台に、妖精の血をひく少女の成長と冒険、恋をえがく、ロマンティックなローファンタジー。
シリーズ完結編の上巻。

魔法魔法と騒いだあとにこんな雰囲気たっぷりのファンタジーを読めるなんて、巡り合わせの不思議を思います。大地のかおり、風の音、鳥たちのうた、生き物たちのうた、それらを照らしだす純粋な光。そんなすてきな世界をたっぷりの味わわせてくれるお話です。

この話は『光を運ぶ娘』の直接の続編となっていて、『妖精王の月』、『夏の王』の姉妹編でもあり、シリーズ全体の完結編となっている模様。
つーか、これらの話がひとつにまとまるなんてぜんぜん考えてなかったので、読み始めてびっくり、というのが本音。

しらないひとにも関係がわかるようになってるのでこれが初読というかたもわけがわからないということはないと思いますが、前作までのネタバレは嫌というかたは先に前述の三作を読むことをおすすめします。とくに『光を運ぶ娘』は読んでおいて損はないかと。でも私は『妖精王の月』がいちばん好きなんです、余計なお世話ですが。

というわけで、今回のヒロインは『光を運ぶ~』とおなじ少女ダーナ。前作から二年後という設定で、十三歳になってますが、その後移住した父親の故郷カナダになじめず、酷く頑なな性格になってます。妖精国を逃避場所にしているダーナは、危機を示唆するいろいろな兆候に気づきません。『妖精王の月』のヒロインだったカナダ在住のグウェンはアイルランドからダーナを守るようにと警告を受け、『夏の王』のヒロイン、ローレルとともに動きだしますが、ダーナはいち早く動いた敵からの攻撃を受け、人間界から妖精国と開かれていた扉がすべて破壊されてしまいます。ダーナは謎めいた少年ジャンに間一髪たすけられるが、彼女への攻撃は次第にエスカレート。妖精国への連絡手段も失ったダーナは酷い疑心暗鬼に駆られることになるが……。

というふうな感じで話が展開します。

これまでのシリーズではヒロインはアイルランド系カナダ人で舞台はアイルランドというパターンだったのですが、初めてカナダが主要な舞台に設定されて、精神的な異世界もアイルランド系だけでなく、アメリカ大陸ネイティヴのもの、フランス移民の持ち込んだフランス系もの、と新大陸のたどった歴史とともに大きな広がりを見せていくのが読み所だとおもいます。

ケイジャンなんてことば、ものすごく久しぶりに読んだなー。あれはフロリダかなんかが舞台のハードボイルドだったけど。

妖精博士がメディシン・マンとおなじ役割であるという記述に、考えてみれば当然なんだけど、ほえーそうだったんだーと目から鱗が落ちました。
人間の原始的な精神世界というものには、気候や地形による差は多少あれど基本的には変わらないものなのかもしれませんねえ。

それと今回のヒーローはオオカミです。
また、オオカミというべきか。
このところ自分でファンタジーだーと感じる話にはたいていオオカミがでてきて、その気高く力強い姿で魅力たっぷりの存在感を発揮してくれてる気がするんですけど。気のせいか。
今度のオオカミは純粋なオオカミじゃないけれど、やっぱりふさふさとした毛並みに鋭い眼光はカッコイイです。

敵の正体がいまいちはっきりしないけど(あるていどお約束という感じがほのめかされてはいるが)、それはこれから明らかになるのかな。
オオカミと妖精少女の冒険の行方を知るために、下巻へ突入します。

夢の書 (下)
O.R.メリング 井辻 朱美
4062138352



シリーズの既刊。
妖精王の月
O.R. メリング O.R. Melling 井辻 朱美
406207463X

夏の王
O.R. メリング O.R. Melling 井辻 朱美
4062108291

光をはこぶ娘
O.R. メリング O.R. Melling 井辻 朱美
4062116340

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