『夢の書 下』

夢の書 (下)
O.R.メリング 井辻 朱美
4062138352

[Amazon]


読了。

アイルランド系カナダ人で半妖精の少女の冒険と成長を描きながら、現実と精神の地理歴史を織り交ぜた壮大かつ神秘的なたたかいをつづる、シリーズ完結編。

故郷からあらたな定住の地へ。望郷の哀愁とすまいと定めた土地への愛着から生まれるしぜんな気持ち、ひとのこころはそれぞれのものだけれども分かり合うことはできる。人種や文化がことなっていても。

そんな読後感にみたされた物語でした。

古いアイルランドの幻想譚も絡めながら北アメリカ大陸を縦横に駆けめぐるダーナの通過儀礼のすごいこと。
聖ブランダンの航海がこんなところにでてくるとはーと興奮したし、植民地時代のカナダの歴史にも好奇心を刺激されました。

途中で、大好きなロリーナ・マッケニットの音楽や、チャールズ・デ・リントの本が引用されるのにほくそ笑みました。そういえば、ロリーナもアイルランド系のカナダ人でしたね。

たしかにアイルランドの妖精がアイルランド人たちとともにカナダに移住していたら、中国の龍たちが中国人とともに移動していてもおかしくはない。そしてフランスのルー=ガルーも、ネイティヴの精霊たちとともに駆けつけるところは大興奮です。

けっきょく敵はやはり例のやつだったですが、そのありようはまたたんなる敵ではなかったし、些細なことにケチをつけようもないほどあふれでてくる圧倒的な幻視の力にただただ押し流されて読みました。

幾度も出てくる、


「われらはみな、ひとつの家族だ」



という台詞は、グローバル化した現在、つよくこころに留め置くべき言葉かと思います。

後日譚はいらないかなーと思いましたが、ここを読むとホッとできることは確か。

個人的には、人間なのに異様に妖精的なダーナの叔母さん二人組、ディアドレとイヴォンヌがお気に入りでした。
あと、ネイティヴのメディシンマンのおじい。カッコイイ~。

作中ながれる曲は英語がダメな私には特定できないので、とりあえずおすすめの一枚。
The Book of Secrets
Loreena McKennitt
B000J233SK


こちらはカナダの大都会を舞台にした、素敵なアイリッシュ・ローファンタジー。二部作。
ジャッキー、巨人を退治する!
チャールズ デ・リント Charles de Lint 森下 弓子
4488557031

月のしずくと、ジャッキーと
チャールズ デ・リント Charles de Lint 森下 弓子
448855704X

Comment

Comment Form

管理者にだけ表示を許可する

Trackback


この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)