『略奪都市の黄金』

掠奪都市の黄金 (創元SF文庫 リ 1-2)
フィリップ・リーヴ 安野 玲
4488723020

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読了。

文明崩壊後。都市淘汰主義の台頭でほとんどの都市が移動し、互いに食い合うようになった遠未来を舞台に少年少女の冒険を描くSFシリーズの第二作目。

あー面白かった!

まるで上質のアニメのようにこまやかに描写され動いてゆく移動都市や自然の光景にドキドキわくわくする、冒険ものです。
画面の質のテイストとしては宮崎アニメに近いかなと思います。
が、雰囲気がかなり暗いのと物語自体もかなり殺伐としているので、ハッピーなお話が好きな人におすすめするのはいかがなものかとちと悩む。
私は大好きですけどね。

今回は移動都市アンカレジに不時着したトムとへスターがいろんな事に巻き込まれて、トムはアンカレジの少女伯爵によろめいて、へスターは嫉妬の嵐に襲われ、その後なんやかんやで文字通り半死半生の境を行ったり来たりするお話です。
アンカレジ自体はごく穏やかなところなんですが疫病のせいで崩壊寸前になってるんですね。
そこに盗賊都市アルハンゲリスクの影が迫る!

いつものことながら反移動都市同盟という組織を丸ごと忘れきっていたので、そのあたりを理解するのにえらい時間を食ってしまいました。

が、今回はなんとなくヴァイキングの冒険行に似た雰囲気があって、かつてヴァイキング好きだった血が騒ぎました。
ニムロッド・ペニーロイヤル教授は最初から無責任な大法螺吹きぽかったけど、スノリなんたらかんたらの航海だのなんだのって史実にありますからねえ……アレを下敷きにしたんじゃないかなあと思うじゃないですか。ついこの間読んだ『夢の書』に聖ブレンダンの航海が出てきたこともあるし……。訳者あとがき読んだらこの本とはぜんぜん関係ないところでぶったまげましたけど。えーそうだったんだ。ヴィンランドに移住に出かけた人たちの名前なんてすっかり忘れてましたよ……へえ、そうなるんだ……。『ヴィンランド・サガ』のつづきがはやく読みたいなあ……。

そのほかにもいろいろあちこちにこまかい仕掛けがあるらしくて、作者の人すごく楽しんで書いてるんだろうなあという雰囲気がひしひしと伝わってきました。

ストーリーにまるで触れないのも何なので、ちと書いてみようと思ったら
「トムのばかものーっ」
の一言しか浮かんでこなかったよ(苦笑。

へスターが成長してどんどんすごくなっていくのがちと怖い、ような。

このふたり、かなり肉体的にひどいめにあってるんだけど、かならず復活しますね。
そんな不死身なところもアニメっぽいと感じるところかな。

このシリーズは全四部作だそうで、第三部は二部の十六年後が舞台だそうです。
邦訳はいつ出るのかなあ……。待ち遠しいです。

シリーズ開幕編はこちら。
移動都市 (創元SF文庫)
フィリップ・リーヴ 安野 玲
4488723012

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