『終わらざりし物語 上』

終わらざりし物語 上
J・R・R・トールキン クリストファ・トールキン 山下なるや
4309203965

[Amazon]

読了。

異世界ファンタジー『指輪物語』のバックボーンとなる世界の神話伝説をまとめた『シルマリルの物語』。そこからもれたさまざまな過程の草稿を息子である編者がまとめたものの上巻。

作者本人としては草稿なんて公に出すのはあんまり嬉しくはないかと思うのですが……。
それでもさまざまなところで言及されている物語や、知っている人物の過去の物語などを読んでみたいと思うのはファンの心理でしょうね。

トールキンはおなじ物語を幾度も書き直していたらしく、エビソードの移動や設定の変更もかなり晩年までやっていたみたいです。
当然それまでの原稿とは齟齬を生じてくるわけですが、話としてしっくり来ない場合いろいろとやってみたくなる気持ちはよくわかります。
これは第三者が読んでもそれほど混乱しないようにまとめるほうがよほど大変だよなあ……。

息子さんのクリストファー氏は父親の創造した世界をとても愛していたんだろうなと思いました。


上巻の目次は以下の通り。


序文

第一部・第一紀
I トゥオルおよびかれがゴンドリンを訪れたこと
II ナルン・イ・ヒーン・フーリン フーリンの子らの物語
 トゥーリンの幼少時代
 フーリンとモルゴスの争論
 トゥーリンの出立
 ドリアスのトゥーリン
 トゥーリンと無法者たち
 ドワーフのミームのこと
 トゥーリンのドル=ローミンへの帰還
 トゥーリンがブレシルを訪れたこと
 モルウェンとニエノールのナルゴスロンドへの旅
 ブレシルのニエノール
 グラウルングの到来
 グラウルングの死
 トゥーリンの死

 補遺

第二部・第二紀
I ヌーメノールの島について
II アルダリオンとエレンディス 船乗りの妻
 物語のその後
III エルロスの家系 ヌーメノールの諸王 アルメネロスの都の創建から没落まで
IV ガラドリエルとケレボルンの歴史 およびローリエンの王アムロスのこと
 ガラドリエルとケレボルンに関して
 アムロスとニムロデル
 エレッサール

 補遺
 A シルヴァン・エルフとその言葉
 B シルヴァン・エルフの中のシンダールの公子たち
 C ローリエンの国境
 D ロンド・ダイアの港
 E ケレボルンとガラドリエルの名前

 ※

 〔地図〕ヌーメノールの島
 〔系図〕エルロスの家系の初期の世代



読んでいていちばん感じるのは北欧神話っぽいなーということ。
冒頭、延々と系図の説明から始めるところや、文章の雰囲気もそうだし、トゥーリンとかれの乙女の話なんて、まるまるとそれですわ。竜とも絡むしねえ。

それから、上古の昔の伝説であるにもかかわらず、いや、だからなおなのかもしれないけど、思ったよりも登場人物が人間っぽくて、性格がかなり問題有りの人物が主役をはってるなあということ。
みんなプライド高すぎだし、意地をはりすぎです。
こんな性格、不幸にしかならないよと思っているとどんどん状況は悪くなる一方、やっぱり最後には悲劇になだれ込むんですよね。
伝説の人物なんてプライド高くないと書く価値がないのかもしれないと思ってしまった。

それとこれはいつものことですが、やっぱり読んでる途中で「あれー、これってだれだっけ?」「ううー、この話は読んだことあるような気がするんだけど、よく思い出せないさー」というところがてんこもりで。

上巻を読み終えた時点で下巻を借りてきてないので、つい『シルマリルの物語 上』に手を出し始めてしまいました。
読んでしみじみと思うこと。やっぱり、ぜんぜん覚えてなかった……(汗。
でも初読の新鮮さが味わえてるのよとひらきなおってます。
たぶん以前読んだ時は意味がよくわからなかったのだろう。
いま読むと、ほとんど陶然とできます。
やっぱり好きだなー、トールキン。

しかし、アマゾンで調べてみたらシルマリルも新版で出ているのですね。上下分冊じゃなくて一冊で、しかも読みやすいという評判が……もしかして活字を変えてあるのかなあ……なんだか非常にこころ惹かれますデス。

終わらざりし物語 下
J・R・R・トールキン クリストファ・トールキン 山下なるや
4309203973

新版 シルマリルの物語
J.R.R. トールキン John Ronald Reuel Tolkien 田中 明子
456602377X

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