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『銀の枝』

銀の枝 (岩波少年文庫 580)
ローズマリ・サトクリフ 猪熊 葉子
4001145804

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読了。

イギリスの作家ローズマリ・サトクリフの、大人も楽しめる質の高い児童歴史小説です。
ローマ支配時代のブリテン島を舞台にした「ローマン・ブリテン四部作」の二冊目。
ずっとハードカバーで出ていた本ですが、岩波少年文庫に入ったのを機会に購入し、もういちどじっくりと読みました。

……つーか、時間かかりすぎ。ゆっくり読もうともったいつけたあげくに、本と本のあいだにつまみ読みしたことが多かったので、ちょっとバカなことをしたなと後悔しております。
この本は物語世界に入り込んだらそこから絶対出てこないつもりで浸りながら読むべきだと思う。

物語は四部作の前巻『第九軍団のワシ』から時代が下り、ローマ帝国は衰退期を迎え始めてます。帝国内に皇帝が複数存在し、さらにブリテンでは勝手に皇帝を名乗る軍団の司令官カロウシウスなる人物も現れます。そのブリテン駐屯軍に派遣された軍医であるジャスティンが今回の主人公。

噂のカロウシウスを目の当たりしてかれがブリテンの安定をねがう信頼に足る人物であることを知ったジャスティンは、側近でありながらカロウシウスを裏切ろうとしているアレクトスの陰謀を知り、ブリテンを揺るがす大事件に巻き込まれていく――

というのがメインの物語。

ジャスティンと行動を共にする従兄弟で一作目の主役だったアクイラの子孫フラビウスにより、話は前作と繋がるようになっています。

ジャスティンはフラビウスとともに、アレクトス打倒のために奔走することになるのですが、かれらの動機が侵略者サクソン人を傭兵として引き入れるアレクトスを敵視する地元の人びとの気持ちを代弁しているもので、ローマ帝国のためというよりブリテンの平和のためといったほうが近いので、軍団の中での名誉回復を願ったアクイラとはかなり立ち位置が変わっているなーと思いました。

ローマ軍団の兵士たちは土地で暮らすうちにどんどん地元になじんで一体化していったということなのか。
ローマは支配をしているつもりで吸収されていったのかもしれないと思いました。

あと、舞台となっているのはどちらかというと南ブリテンですが、それだけでなくスコットランドやアイルランドの氏族のひとびとの情勢まで視野に入っているのに気がついて、おおうと思ったり。

初読のときには気づかなかったことにけっこういろいろとひろいものがあり、あらためて物語の深みに感動しました。

ブリテンはサクソンのあとはノルマンがやってきてとどんどん支配者が被支配者にかわっていく歴史を重ねていくわけだけど、もしかしてこれが今もつづく階級社会の礎なのかしらん。でもって、支配者はいつの間にか被支配者の文化に馴染んで同化してゆくと。

それとは関係ないですが、長年の疑問がひとつ解けたことが。
解説によると、ルネサンス以降、西ヨーロッパではギリシャ・ローマ古典文化礼賛の気風がひろがったらしいです。
だから、イギリスの上流階級はあんなにイタリアに憧れて、イタリアに行くことにロマンを見いだしているのですねえ!

ローマンブリテン四部作の三作目は『ともしびをかかげて』。
こちらもすでにハードカバーで発売済みですが、岩波少年文庫版は4月16日に上下巻で発売予定だそうです。


四部作の一作目はこちら。
第九軍団のワシ (岩波少年文庫 579)
ローズマリ・サトクリフ 猪熊 葉子
4001145790


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