『女王エリザベスと寵臣ウォルター・ローリー 上 黄金郷を求めて』

女王エリザベスと寵臣ウォルター・ローリー 上
ローズマリ・サトクリフ 山本史郎
4562041307

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読了。

十六世紀、エリザベス女王の寵臣だったウォルター・ローリーの生涯をその妻、ベス・スロックモートンの視点で描いた歴史小説、上巻。

親しい貴族夫人の家で行儀見習いをしていた幼いベス・スロックモートンは、そこで運命的な出会いをする。ひとりは生まれながらの障害から容姿とこころとを傷つけられた少年ロビン・セシル。そしてもうひとりがつねに異彩を放ちながら我が道を進まんとする青年ウォルター・ローリーだった。
長じて女王の侍女となったベスは、王宮から離れた庭園の外れで植物に絡めとられて身動きができなくなったところを、近衛隊長となったウォルター・ローリーに助けられる。
新大陸への憧れを胸に育ったウォルター・ローリーは、夢を現実とするためにイングランド女王エリザベスの近衛隊長となったが、女王はお気に入りのかれを側から離そうとせず、政治的な敵も多い。かれは女王の寵愛を一身に浴びていてもけして幸福ではなかった。
二度目の出会いで衝撃的な恋におちたふたりは極秘に婚礼をあげるが、即座に女王の知るところとなって拘束され、ロンドン塔に幽閉されることとなる。



おもしろいのだけど、なんとなく違和感がぬぐえない読み心地の小説です。
理由はたぶん、私がエリザベス朝のことをほとんど知らないことだと思うけど、もうひとつ、訳文がなんとなく野暮ったい気がするのも原因かと。もっとすっきりとした的確な言葉遣いがあるはずなのにともどかしい気分で読んでいるので、疲れてしまうのです。かといって自分で即座に脳内変換をしたりもできないし、ストレスたまるなあ。

とはいえ、内容はサトクリフらしく、しみじみとした情景描写の印象的なお話です。
とりあつかっている人物や事柄があまりにも派手なので、その分いつもよりうわついた感じがしますが、みれば1956年の作。まだ若かった作家がドラマティックな男女ふたりをえがくにしては冷静で距離を置いた筆致にさすがーと思わされました。

ただし、タイトルだと、女王とローリーの関係に焦点を当てたもののように思えるのに、実際はベスとローリーのほうに焦点があるので、なにかはぐらかされたような気分になることは確か。
たしかに、原題“LADY IN WAITING”は当を得ているけれどどう訳しても地味すぎだもんな。
でも、下巻にはいると内容的にさらに邦題とかけはなれていくので、やっぱり人目を惹く以外に何の意味もないタイトルだなと思わざるを得ません。

ベス視点でのローリーをその特異なキャラクターを含めて言い表すような、印象的なタイトルがなにかないかしらん。と、余計なお世話を考えてしばし時間を費やしてしまう私でした。

とにかく、ウォルター・ローリーの夢とエネルギーのかたまり!というキャラクターがこの話の核心です。
すごく魅力的だけど、奥さんは苦労のし通しですよ。
というわけで、下巻につづく。

女王エリザベスと寵臣ウォルター・ローリー 下
ローズマリ・サトクリフ 山本史郎
4562041315

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