『ルーディーボール エピソードI シュタードの伯爵』

ルーディーボール エピソード1 シュタードの伯爵
斉藤 洋 藤田 新策
4062139642

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やっと読了。
時間がかかった主原因はこの本がとてもかさばることでした。重さはそうでもないんですが、総ページ数598ページもあるのでとにかく分厚い。だから持ちにくい。この体裁では読み手となりうる対象(たぶん小学校上級以上の男児)にはかなり引かれてしまうのではと心配になってしまいました。かくいう私も、とりあえずハードカバーは借りて読む派なので借りてみましたが、買って読めといわれたら辞退申し上げたい。中身がわからない状態でそんな冒険できません。

でも、ソフトカバーでもう少し小さめの版で扱い勝手がよかったら……わかりません。

そういえば、この本、リアル本屋で実際に見たことありましたよ。今思い出したけど、やはりこんなことを思って手に取ってみたけど棚に戻したような記憶がありますよ。

というわけで、本の物体としての扱いにくさに苦労しつつ読んだわけですが、これは……!
意外とというと失礼ですが、期待以上に面白い本でした。
作者は児童文学では有名な方と知ってましたが、異世界ものを書くような記憶はなかったし、どんなものかと思ってたんだけど、一直線に突き進んでいくストーリーの面白さが抜群で、ぐいぐい惹きつけられてしまいました。

お話は、ルーディーボールとよばれる星が舞台。ドルフと呼ばれる隔離された土地で暮らしていた少年ラックスが、外界シュタードからドルフを通り抜けていく馬車を襲い、初めて人を殺め、奪った馬車から金貨の山を換金するために兄貴分のインギースクとバーサルとともにシュタードへと旅立つところからはじまります。

そこからはつぎからつぎへと危険と冒険がとなりあわせの何段重ね、という感じ。ほんとに、男の子向けだなあと思わされるストレートで陽性なお話です。
異世界ものといいますが、雰囲気はなんとなく伝奇ものの感じ。その疾走するようなストーリーの中に背景や状況が無理なく織り込まれていて、複雑な事情も過不足なく書き込みながら、一気にラストまで駆けぬけていくのです。

この速度には登場人物の役割分担がはっきりとしていることも関係しているような。
主人公のラックスは「おねむの坊や」と揶揄されることもあるまだほとんど子供で、かれの疑問に冷静な知性派案内役のバーサルが答えるという形で物語の舞台や状況の説明が織り込まれるようになっていて、力持ちでけんかっ早いインギースクがストーリーの推進役と精神面でのフォロー役を兼ねてるんですよね。

ラックスは読み手が自分を重ね合わせていけるようにわりと没個性に書かれてるんですが、猫顔人なので暗くてもよく目が見える、不思議な剣の鞘を持っている、誰にも教えてはいけないといわれて育てられたある秘密がある、という具合に、ある種の主人公の属性はきちんと満たしている。

と、そういえば書きおとしてましたが、この世界の人々はなぜか動物の属性をもっていて、ラックスは猫顔、インギースクは犬顔、バーサルは兎顔とそれぞれに種族が違うらしい。猫顔の人々がとくに集まって暮らしている集落はないようです。物語ではとある顔の人たちがとくに虐げられているというシーンが出てきますが、これは特殊な能力を有するがうえの特別ケースのようです。しかし異種雑婚は存在せず、またそれぞれに共通の個性はあるらしく、たとえば衛兵隊は十人いれば十二人が犬顔だという案配です。

この、猫顔だの犬顔だのいうキャラクターはかなり萌え要素になるのではないかとあとで考えましたが、私がそういうのに鈍感だからか、はたまた児童書らしく清廉潔白だからか、そんな気配はほとんど感じませんでした。

あ、でも衛兵隊の犬たちを思うとなんか笑えますねえ。とくに退役曹長のグッキー・ウォンダおじいさんはすてきなキャラクターでした。フフフ。

というわけで、なんだかんだいいつつもけっこう楽しめた本だったのでした。
エピソード1というのだからきっとつづきもでるのでしょう。
みつけたら読んでみたいと思います。
できたら、今度は女性キャラクターを登場させて欲しいです。
今回、ほとんど出てこなかったからなあ……男の子の生活には女性は必要ないのでしょうか(苦笑。

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